全国の劇場にて9月29日より、アニメ映画『ストレンヂア 無皇刃譚』が公開されている。戦国時代を舞台にした本格アクション大作である本作は、主役の声に声優初挑戦となる人気アイドルグループ・TOKIOの長瀬智也を起用したことでも話題を呼んでいる。
監督はアニメーターとして『カウボーイビバップ 天国の扉』から『クレヨンしんちゃん』まで幅広く参加し、本作が初監督作品となる安藤真裕。脚本は『機動戦士ガンダム0080』『WXIII 機動警察パトレイバー』を監督し、実在感を備えたハードな描写が持ち味の高山文彦が担当。制作は『鋼の錬金術師』『交響詩篇エウレカセブン』を代表作に持ち、アクション描写にはとくに定評の高いボンズが手がけた。
<あらすじ>
時は戦国。はるか明国から禅僧に連れられて海を渡り、日本にたどり着いた少年「仔太郎」(声: 知念侑李)は身を寄せた寺を焼かれ、愛犬と旅を続けていた。旅の途中、仔太郎はある荒寺で刀を封じた奇妙な剣士「名無し」(声: 長瀬智也)と出会うが、そこへ仔太郎に隠された秘密を求めて明国から追ってきた刺客が襲いかかる。危ういところを名無しに救われた仔太郎は、彼に自分の用心棒にならないかと持ちかけるが……。
謎に包まれた剣士・名無し。彼はなぜ自らの刀を封じているのか、そしていつその封印を解くかが物語の大きな見どころとなる |
仔太郎とその愛犬・飛丸。冬の日本の寒々しさをうまく表現した渋い色彩にも注目 |
『ストレンヂア』の見どころはなんと言っても息を呑む剣戟。本作では超能力や妖怪といったアニメ的なギミックは用いておらず、また恋愛が前面に出るようなこともない。しかし、そうした要素を補って余りあるだけの豊富なアクションとアイデアが盛り込まれており、物語はやがて主人公・名無しと強敵・羅狼の激突という一点に向けて収斂されていく。その緊張感は黒澤映画的であり、西部劇的であり、さらには総合格闘技的でもある。男と男の戦いを真っ向から描いた本作には「血沸き肉踊る」という手垢のついた言葉こそよく似合う。
実写映画でも再現が非常に難しい、戦国時代の日常風景を可能な限り本当らしく描いていることにも目を留めておきたい。食事の支度をする、あるいは馬に乗る、そうした細部へのこだわりが作品全体に説得力を持たせ、ひいては見せ場となるアクションシーンの生々しさを底支えしている。アニメファンはもちろんのこと、時代劇に親しんできた映画ファンにとっても見ごたえがある1本だ。
10月6日にはシネ・リーブル池袋にて追加舞台挨拶が行われ、安藤真裕監督や声優の宮野真守、ボンズの南雅彦プロデューサーが登壇したので、各人のコメントを紹介しておきたい。また14日にはラゾーナ川崎の「ナムコ ワンダーパーク ヒーローズベース」にて15時よりトークショーを開催。今回の追加舞台挨拶に登場した宮野真守、安藤真裕監督、南雅彦プロデューサーが再び『ストレンヂア』について熱く語る予定となっている。
左から安藤真裕監督、宮野真守、南雅彦プロデューサー。宮野は飛丸のぬいぐるみ持参で、安藤監督と南プロデューサーはお揃いの扇子とスタッフジャンパーで登場 |
安藤真裕監督
宮野さんファンの皆さん、ありがとうございます(会場笑)。日本の最高のスタッフによって本当にすばらしい映像になったと思います。監督としてすごくうれしいです。(題材が)時代劇になったのは僕が好きなんです。そして僕の表現手段がアニメーションだった。「時代劇でアニメーション、どうなの?」という人も多分見ていただけたら「なるほど」とわかっていただけると思います。
宮野真守(戌重郎太役)
監督からは「芯のある強い男性として演じてください」と言われました。普段使っているしゃべり言葉ではないので、その時代に自分がちゃんと入っていけるかというので難しい部分が多かったです。登場する人物が自分が欲するもののために戦っている姿がすごい印象的で、そのなかで重郎太が自分の気持ちを伝えるところは力が入りました。
南雅彦プロデューサー
宮野君の役はとくに難しい役柄だったと思いますが、若さと芯の強さという両面をうまく出してもらえました。作っている過程を知っていても最終的な形ってじつはわからないんですが、1本の作品としていいものができたなと。多くの人に見てもらいたい作品が本当にできたと思いました。
『DEATH NOTE』『機動戦士ガンダム00』などの人気作で主演を務める宮野に、場内からは女性ファンからの歓声も |
『ストレンヂア 無皇刃譚』全国大ヒット公開中!
配給: 松竹
(C)BONES/ストレンヂア製作委員会2007