BMW AG(ドイツ)は、パリ国際自動車・オートバイ見本市において、水平対向2気筒エンジンを搭載したハイパフォーマンス・新型モーターサイクル「BMW HP2 Sport」を発表した。2008年に欧州市場に導入される予定。日本での発売、仕様などは未定。以下はドイツ国内市場向けのもの。

BMW HP2 Sport

BMWモトラッド(二輪部門)の「HP」は"ハイパフォーマンス"の意味で、ほぼそのままレースにも出場できる性能を備えている。BMWのラインアップでも特別な存在で、現在ではオフロード向けの「HP2エンデューロ」が発売されている。また、「2」は2気筒ボクサー(水平対向)エンジンを表す。

今回発表された「BMW HP2 Sport(スポーツ)」は、R1200Sをベースにしているが、各部を見直し、レースにも対応させたモデル。結果として、ボクサーエンジンを積むモデルとして最強・最軽量となった。

エンジンはシリンダーヘッドを新設計し、DOHCにより大径バルブを駆動する。スパークプラグは気筒あたり1本となった。圧縮比は1.2。ボア・ストローク101×73mmの1,170ccから、最高出力98kW(133ps)/8,750rpm、最大トルク115Nm/6000rpmを発生する。エンジン最高回転数は9,500rpm。ピストンやコンロッドも新設計のものを使用している。エンジンそのものは空冷だが、膨大な熱量に対処するため、2つのオイルクーラーを装備。ステンレス製エグゾースト・システムは、初めてエンジンの真下に搭載された。

6速ギヤボックスはレースを考慮しクロスレシオとされた。「ギヤシフト・アシスタント」もレース前提の装備。ギア・レバーを操作すると瞬間的に点火角度や噴射量が抑制され、エンジンからの負荷を減らすことで、アクセルを戻したりクラッチを切ることなく変速を可能にする。

鋼管製ミッドフレームはBMW R1200Sから継承、改良を施されている。フロントサスペンションは「テレレバー」、リヤは「パラレバー」だが、ショックユニットに専用のオーリンズ製を使用する。減衰力などの調整はもちろん、車高調整も可能。フロントブレーキにはラジアルマウント式4ピストン・ブレーキキャリパーを使用する。ディスク径はφ320mm。また、スポーツ走行に適したABSシステムがオプションで提供される。

軽量構造も徹底しており、リヤフレームはフェアリングはカーボン製を採用。ヘッドライトも軽く作られている。ホイールも重量を最適化した鍛造ホイールを採用。その結果、DIN規格に準拠した空車重量(タンク内に90%の燃料入り)で199kg、乾燥重量はわずか178 kgとなった。

右サイド。リヤブレーキディスクはφ265mm

左サイド。マフラーは2イン1から高く跳ね上がる

上面。エンジン幅は広いが、ポジションの自由度は高い

保安部品は簡単に取り外すことが可能

コクピット。レバーはもちろん、ペダルも調整式

メーターはラップタイムなども計測できる多機能なもの

マフラーの熱がシートに伝わりにくいように工夫されている

軽量な鍛造ホイールは(F)3.5×17、(R)6.0×17のサイズ

ストリップ。エンジンを構造材として使うため、フレーム部は少ない

エンジン下に触媒を備える

透視図。サスペンションユニットなどの配置がよくわかる

透視図。フロントのテレレバーの構造が特徴的

新設計となったDOHCのヘッド回り

バルブ駆動部分。ロッカーアームを使用する

HP2 Sportの走行イメージ写真

走行イメージ。ボクサーエンジンなのに深いバンク角

走行イメージ

レース仕様。ライダーは Thomas Hinterreiter/Richard Cooper