The LLVM Compiler Infrastructureプロジェクトは、仮想化の概念を導入したコンパイラプラットフォームの最新版「LLVM 2.1」をリリースした。LinuxやMac OS X、Solaris 8などUNIX系OSで動作確認されたソースコードは、OSI準拠のオープンソースソフトウェアライセンスのもと同プロジェクトWebサイトにて公開される。
今回のリリースでは、GCC 4.2ベースのCフロントエンド(llvm-gcc-4.2)を収録。GCC 4.2で実現されたOpenMPサポートを利用できるほか、FortranおよびAdaのフロントエンドとしても動作可能になった。LLVM独自のC / Objective-Cフロントエンド「clang」も追加され、コンパイルに要する時間が短縮された。最適化エンジンとコードジェネレータもアップデート、x86バックエンド向けにはSSSE3のサポートや再実体化(Rematerialization)の改良が加えられた。
LLVMは、仮想マシン用の中間コードを生成するGCCベースのコンパイラコレクション。実行開始時のプロファイリングに基づきデータを収集しつつコンパイルするという動的な最適化に加え、実行終了後に収集したデータをもとに静的な最適化を実行するという2段階の処理により、利用される環境に最適化されたバイナリが生成されることが特徴。最適化処理のコードを記述する必要がないうえ、バイトコード生成後もLLVMによる最適化の恩恵を受けられるというメリットがある。今秋リリース予定のMac OS X 10.5(Leopard)では、OpenGLスタックにLLVMの技術が利用されている。