本来であれば、Salesforce.comの持つインフラは「Salesforce」で呼称される自身のアプリケーションサービスを実行するためのものだ。だがインフラの強化とともにその役割も変化し、むしろアプリケーション全般を実行するためのプラットフォーム的な性格が強くなりつつある。ユーザーのアプリケーションをホスティングしてサービスとして提供する仕組みは、ちょうどOSの上でソフトウェアを動かす構図に近い。クライアント/サーバシステムのインターネット版といえるだろう。
Benioff氏はSalesforceというアプリケーションの性格が弱まりつつあることを受け、既存サービスのプラットフォーム部分を切り出して別のブランドを付与することに決めたと述べた。新名称の「force.com」は、従来まで「Apex (あるいはAppExchange)」と呼ばれていたもので、すべてのアプリケーション実行基盤となる。アプリケーションロジックや各種開発コンポーネント、データベース、ワークフローまで、アプリケーション構築に必要な要素をまとめたものとなる。force.comはすべてのSalesforce契約ユーザーに対して提供されるもので、ユーザーはこの上で自由にアプリケーションの構築やカスタマイズが可能となる。カスタマイズはパラメータの変更に加え、プログラム言語の「Apex」を用いてより詳細なコーディングも可能だ。いわゆる「Plastform as a Service」を実現するものとなる。