米Salesforce.com主催の年次ユーザーカンファレンス「Dreamforce 07」が9月17日(現地時間)、米カリフォルニア州サンフランシスコ市内で開催されている。今年で5回目となるDreamforceだが、参加者が8000人と過去最大規模となり、非常に大きな盛り上がりを見せている。マチュア(成熟)という領域には到達していないものの、現在のIT業界を牽引しているテクノロジードライバーの1人ということもあり、その勢いと熱気を感じるイベントとなった。
SaaS(Software as a Service)市場の雄として知られるSalesforce.comは、GoogleやAmazon.comなどと並んでWeb 2.0の中核を成す企業だ。同社創業者で会長兼CEOのMarc Benioff氏自身が「メインフレームやクライアント/サーバに続く、オンデマンド時代のイノベーター」と述べるように、エンタープライズ分野での技術リーダーのポジションにある。急成長を続ける同社だが、その秘密はユーザーやパートナーが増えるごとに強化されていくプラットフォームにある。
サービスを利用するユーザーは、Salesforce.comが用意したホスティングサービスを介してアプリケーションを利用し、データの保存や呼び出しを行っている。すべてのアプリケーションやロジックはこのインフラ上に蓄積され、アプリケーションのカスタマイズやコンポーネントの構築で、日々プラットフォームが強化されている状態だ。これまでカバーできなかった領域やソリューションも、いちどユーザーがアプリケーションや部品を構築すれば、以後は別のユーザーがその資産を活用したり、さらにカスタマイズを加えることも可能だ。つまり、ユーザーが増えるごとにプラットフォームそのものが強化される、一種のユーザー参加型コミュニティといえる。ユーザーやパートナーは、このアプリケーションの共有(AppExchange)でさえビジネスにすることができる。
Benioff氏は「われわれがプラットフォームを用意し、ユーザーがイノベーション(革新)を加速する」と説明する。このサイクルが、今後のさらなる成長の加速の可能性へとつながっている。