東京・FS汐留ホールにて8日、OVA『装甲騎兵ボトムズ ペールゼン・ファイルズ』第1巻の完成を記念し、完成披露試写会が開催された。

『装甲騎兵ボトムズ』は、1983年より放送されたロボットアニメ。ロボットをAT(アーマード・トルーパー)という戦場の道具として描き、新しいロボットアニメのあり方を提示した作品。アニメ放映後も多数のOVAが制作され、今回13年ぶりにOVA作品(全6巻)として登場する。今回のストーリーは、OVA『野望のルーツ』からTVシリーズ開始までの間が描かれる。

主人公のキリコ・キュービィ。OVAでは、曰くつきが揃うバーコフ分隊に所属。戦場で異常な生存力を発揮する「異能生存体」であるため、常に監視の目がつきまとう
(C)サンライズ

今回ATをすべて3DCGで制作。鉄の触感がはっきりと見て取れる。OVAでは新しいタイプのATも登場
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10月26日に発売される第1巻には、第1話と第2話を収録。作品解説としてライナーノーツが封入され、価格は7,140円(以降隔月発売予定)。同時に発売される限定版には、OVAでキリコが搭乗するスコープドッグが付属。価格は9,240円。

限定版1巻に付属する、完成アクションフィギュアの1/48スコープドッグ。OVA6巻までに、それぞれ特別仕様のATが付属予定

今回の試写会では第1話上映の前に、高橋良輔監督と、主人公キリコの声優を務める郷田ほづみによるトークショーを開催。抽選で選ばれた300人の来場者の方は、話に聞き入っていた。

今回3DCGでATを描いたことについて監督は、「カドをたくさん出したりATに迷彩を入れたりという、新しい技術による利点が生まれました。以前の作品を見ている方のイメージと、バランスを取りながら作っています」とCGを使う意義を語った。

今回キリコを演じることについて問われた郷田は、「毎年ゲームなどでキリコを演じていて、僕のなかでは20何年経っている感じがしないです。(慣れすぎていて)プロデューサーから『キリコ、もうちょっと初々しくやってくれ』という指示があったので、そこを気をつけました(笑)」とアフレコ時の話が披露された。

高橋監督が作詞した、新主題歌『鉄のララバイ』についても話が飛び出した。監督は「『ボトムズ』というとTV版主題歌の『炎のさだめ』が浮かぶのですが、新しいものを作りたいと思いました。その話をすると『ちゃんとやってくださいよ』という脅しが入りました(笑)」とエピソードを紹介。その話に郷田が「『オープニングを歌ってくれ』という話を待っていたんですけどね」と合わせると、会場からは大きな笑いが起きていた。

高橋良輔監督(左)と郷田ほづみ(右)。これまでにもイベントで一緒になることが多かったコンビだけに、息のあったトークを披露

トークショー終了後、高橋監督よりサプライズゲストが紹介。TVアニメ版からキャラクターデザインを務める塩山紀生など、4人のメインスタッフが登壇。1話上映と合わせ、ファンにはたまらない試写会となった。

以下、登壇者全員による、作品やファンへのコメントを紹介する。

高橋良輔(監督)
みなさんと一緒に『ボトムズ』をもう一度楽しめるかなと、ドキドキしています。ATもCGで手描きのアニメーションと同等のものができたと思うので、楽しんでください。

郷田ほづみ(キリコ役)
第1話を見て、まずCGがすごいなと思いました。イントロダクション的な内容なので、続きを見ないとなんにもなくなってしまうので(笑)、ぜひ買って見ていただきたいです。

塩山紀生(キャラクターデザイン)
今回はキャラクターデザインといっても原案みたいなものです。作画監督にうまくまとめてもらいました。

吉川惣司(シリーズ構成)
『ボトムズ』など様々な作品を通じて、監督とはずっとつながっているような気がしています。

五武冬史(脚本)
20数年ぶりに参加して、『ボトムズ』の世界観が変わっていてびっくりしました。吉川惣司さんの作り出した世界に合わせて書いています。

竹内一義(総作画監督・チーフディレクター)
自分自身が『ボトムズ』のファンなので、今回描かせてもらえて本当にうれしいです。この作品が橋渡し役になって、シリーズが続いてくれたらと思います。

左から高橋監督、キャラクターデザインの塩山紀生、シリーズ構成の吉川惣司、脚本の五武冬史、総作画監督・チーフディレクターの竹内一義、キリコ役の郷田ほづみ

OVAのメインビジュアル。第1巻のジャケットイラストは、キャラクターデザインの塩山紀生により描かれる
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