既報の通りNTTドコモは、PCを利用したパケット通信料が定額となる新料金プラン「定額データプランHIGH-SPEED」および「定額データプラン64K」を10月22日より提供すると発表した。前者は月額最大10,500円で、後者は月額4,200円で、PCとFOMAを接続して行うパケット通信が定額となる。

これまで同社が用意していたパケット定額プラン「パケ・ホーダイ」「パケ・ホーダイフル」「Biz・ホーダイ」はいずれも、電話機内蔵のWebブラウザやメール機能を使用した場合の通信を対象にしたもので、PCと携帯電話をUSBケーブルなどで接続してインターネットにアクセスした場合、通信量に応じた従量料金が適用されていた。今回の「定額データプラン」2プランはPC接続専用の料金体系で、外出先からノートPCでメールの送受信やWebページの閲覧を行う際に料金を気にする必要がなくなる。

2プランの違いは通信速度で、定額データプランHIGH-SPEEDはFOMAハイスピードエリア内では下り最大3.6Mbps/上り最大384Kbps、従来のFOMAエリアでは送受信とも最大384Kbpsの高速通信が可能で、定額データプラン64Kは同社が従来提供しているPHSサービスと同等の送受信最大64Kbpsとなる(最大通信速度はいずれも規格上の理論値)。

定額データプランHIGH-SPEEDは2段階の定額制をとっており、月に50万パケット(約61Mバイト)未満の場合は4,200円、50万パケット以上100万パケット(約122Mバイト)未満は4,200円+50万パケットを超えた分の従量料金(1パケット0.0126円)、100万パケット以上使った場合は一律10,500円となる。定額データプラン64Kは通信量にかかわらず4,200円。なお、定額となるのは「定額データプラン接続ソフト」を利用して対応アクセスポイントへ接続した場合のパケット通信のみで、一般のFOMA用アクセスポイントに接続した場合、HIGH-SPEEDの場合1パケット0.0126円、64Kの場合1パケット0.021円の従量料金が発生する。

(1)の範囲は4,200円、(2)の範囲は4,200円+従量料金、(3)の100万パケット以上は10,500円となる2段階定額制

64Kのプランでは、通信速度はPHS同等だが使った量にかかわらず4,200円

「ファミ割MAX50」「ひとりでも割50」「いちねん割引」などほとんどの割引サービスは利用できない。「ファミリー割引」「ビジネス割引」「オフィス割引」は利用可能だが、定額データプランの基本使用料は割引の対象外となる。

現在、定額データプラン対応プロバイダは同社の提供する「mopera」のみなので、利用には同サービスへの加入があわせて必要となる。HIGH-SPEEDの場合月額840円の「U定額HIGH-SPEEDプラン」、定額データプラン64Kの場合月額525円の「U定額64Kプラン」のほか、あらかじめ許可されたサイトにのみアクセスできる企業向け接続サービス「ビジネスmoperaインターネット URL制限タイプ」のいずれかが利用できる。今後対応プロバイダが拡大するかは、現時点では未定という。

HIGH-SPEED、64Kいずれのプランも、FOMAハイスピード(HSDPA)対応機種でのみ利用可能。現時点では、同日発表されたUSB接続タイプの「A2502 HIGH-SPEED」を含む6機種が対応しており、すでに発表されており未発売のFOMAハイスピード対応携帯電話3機種が今後対応する予定。また、同日富士通から「FMV-BIBLO LOOX T」および同「LOOX U」にFOMAハイスピード対応通信モジュールを内蔵した新製品が発表されており(10月22日発売予定)、これらでも定額データプランが利用可能なほか、ソニーも「VAIO type S」および同「type T」で通信モジュール内蔵モデルを開発中と発表している。

定額データプラン対応機種
(9月13日現在)
データ通信専用機種 A2502 HIGH-SPEED
M2501 HIGH-SPEED
音声通話用機種
(定額データプランの場合データ通信専用になる)
N904i
P903iX HIGH-SPEED
F903iX HIGH-SPEED
N902iX HIGH-SPEED
F1100(予定)
HT1100(予定)
L704i(予定)

対応機種には、データ通信専用機種だけでなく90xシリーズなど音声通話用の機種も含まれているが、今回の定額データプランで契約した場合、音声通話、テレビ電話、iモードなどは利用できず、PCでのデータ通信専用となる。

メールの送受信、Webページの閲覧、Webブラウザを使用したファイルのダウンロードなどが可能だが、ネットワークの負荷を抑えるため、FTPによるファイル転送、ファイル交換ソフト、インターネット電話ソフト(Skype等)、オンラインゲームなどは行えない。Webページの閲覧においても、ページ内に含まれる動画などストリーミングコンテンツの一部にはアクセスできない場合があるという。同社では、目的の通信が定額プランの対象になるかを事前にチェックできるソフトを提供する予定。また、一定時間内で極端に大量のデータ通信を行うなどした場合、接続が切断されたり一定時間接続できなくなることがあるとしている。

同社では2008年1月7日にPHSサービスを終了することにともない、PC向け定額データ通信サービス「@FreeD」の代替となる料金プランを用意することを以前より案内していたが、今回の発表では、@FreeDと同等の64Kbpsサービスに加え、HSDPAに対応したサービスも追加された。従来、HSDPAを利用したPC定額制はネットワークの負荷が高く難しいとされていたが、同社ではできるだけ利用者のニーズに応えるため、提供条件を負荷の低い通信に限定することで今回実現したとしている。