ジャストシステムは、露Kaspersky Labs Internationalが開発する総合セキュリティソフト「Kaspersky Internet Security 7.0」とウイルス対策ソフト「Kaspersky Anti-Virus 7.0」を14日から発売すると発表した。価格はそれぞれ税別で12,800円、8,800円。優待版も用意され、他社セキュリティソフト・サービス・ジャストシステム製品所有者は同6,800円、ダウンロード版は同4,680円など。11日からは前バージョンのユーザーに対して無償バージョンアップサービスが実施されている。
Kaspersky Internet Security(以下、KIS)と同Anti-Virus(以下、KAV)は、高性能という点を最大のセールスポイントとするセキュリティソフトで、昨年11月にジャストシステムから製品が発売され、今年8月末までに累計20万本を出荷、民間調査会社BCNの調査では6月までにセキュリティソフトのシェア5%を獲得。当初の計画通りのシェアを達成し、同社の浮川和宣社長は「ビジネス的にはまずまずの成功」と出だしは好調だったとの認識だ。
新バージョンの7.0では、これまでの機能を強化するとともに新機能を追加。Kasperskyの10年にわたる技術の「集大成」(ジャストシステム・Kasperskyプロジェクトビジネスオーナー 加納正喜氏)という3つの検知技術「トリプルシールド」を搭載。
1つめは従来の定義ファイルにもとづく対策で、Kasperskyではもともと1週間あたり約150回、おおむね1時間に1回という頻繁な定義ファイルの更新を実施して新種のマルウェアなどに迅速に対応。2つめは前バージョンにも搭載された「プロアクティブディフェンス」で、これはアプリケーションのインストール動作やWebブラウザによるサイトアクセス、Officeのマクロ処理などの動作を常時監視・解析して、レジストリの改ざんなどの怪しい動きを検知してブロックする。
3つめが新機能となる「ヒューリスティック検知」で、仮想環境上でファイルなどを実行することでその動作をエミュレートして危険性を判断、駆除する。ヒューリスティック検知によって定義ファイルが検出できない未知のマルウェアの攻撃からマシンを防御できる。ヒューリスティック検知によってルートキットやキーロガーといったマルウェアの検知能力が向上したという。ルートキットは専用の設定項目も設け、必要であれば検出しない設定も可能。
ユーザーインタフェースも刷新し、メイン画面上で現在のリスクレベルが一目で分かるようにしたほか、新たにプライバシーコントロール機能を搭載。これは、Webブラウザが保存するWebサイトのIDやパスワードを盗むようなマルウェアの動作をブロックするなど、個人情報の流出を防ぐ。また、ペアレンタルコントロールも追加し、子供が危険なWebサイトにアクセスできないように設定できる。
KISに対してKVAは、ウイルス対策機能に特化したモデルで、ファイアウォール、スパム対策、プライバシーコントロール、ペアレンタルコントロールといった機能はないが、トリプルシールドのウイルス対策機能は搭載されている。
浮川社長は、コンシューマセキュリティ業界では後発ながらKasperskyに注力していく意向を示しており、「スタートしたところなので地道に(セキュリティに関する)ノウハウをためながら、(Kasperskyと)力を合わせて、PCユーザーを守ることに全力を尽くしていきたい」と意気込みを語った。
ジャストシステムのKasperskyプロジェクトリーダーの横井太輔氏は、2003年をターニングポイントとして、それまでの「愉快犯が自己顕示欲を満たす表面上のウイルスから、水面下に潜り、ユーザーの心理を突く攻撃が増えた」と指摘。フィッシング詐欺、オンラインバンキング関連の犯罪も急増しており、今年もこの傾向は変わっていないという。
こうした現状に対抗するためにKasperskyは開発され、マルウェアからPCを強力に守る堅牢性と、常駐させても快適にPCを動作させる軽快さを、高いレベルで実現したとしている。
横井氏は、今後1年間でシェア10%以上獲得することを目標に掲げる。この目標に向け、製品をこれまでよりも低価格化したほか、2年間の更新料を含む2年優待版、2ユーザーで使える2ユーザー優待版などのさまざまな製品バリエーションを用意した。また、Kaspersky創業者で、製品パッケージに顔写真で登場するEugene Kaspersky氏が、14日の発売に合わせて来日。15日には東京・秋葉原と新宿のヨドバシカメラで、16日には大阪・梅田のヨドバシカメラで店頭イベントを実施するなど、シェア拡大に向けてさまざまな施策を実施していく考えだ。