ヤマハ発動機は、1900ccのV型2気筒をアルミフレームに搭載したクルーザーモデル「RAIDER(レイダー)」を開発。2008年モデルとして北米市場で発売する。日本での発売は未定。
米国市場ではクルーザー(日本では"アメリカン"と呼ばれることが多い)市場が順調で、1997年は年間16万台前後の需要だったのに対し、現在は約3倍近い45万台を超えている。近年のトレンドのひとつが"カスタマイゼーション"。ロングフロントフォークや存在感を強調するエンジン廻りの処理、太いリアタイヤ、装飾品のような豪華な仕上げなどが特徴となっている。用途は近距離での街乗り、コミュニケーションツールなどが多く、長距離に使うことは比較的少ない。今回の「RAIDER(レイダー)」はこのような背景の中、個性的なスタイルと心地よいエンジンフィーリング、軽快な操縦安定性などを高次元で調和したモデルとして開発された。
エンジンの基本スペックは同社の「XV1900A」を継承したもので、1900cc空冷OHV・Vツイン+F.I.(フューエルインジェクション)を採用。大排気量Vツインならではの鼓動感溢れるフィーリングが特徴となっている。また、右出しの2-2マフラー(内部構造は2-1-2)を採用し、"音"の輪郭がくっきりしたパルス感のある排気音を達成した。2本のエキパイが集合する部分には排気デバイスの「EXUP」を装備し、優れた低中速域のトルク特性を引き出した。
車体には新設計のアルミフレームを採用。構成する6パーツのうち4パーツは「XV1900A」と同一だが、ヘッドパイプ部からタンクレール部とエンジン懸架部を新設計とした。とくにヤマハ一般市販モデル初採用となるヨーク角(Yoke angle/通常ステアリング軸とフロントフォーク軸が平行だが、意図的にこれを傾斜させたもの)設定が特徴。これにより1,799mmのロングホイールベースと特徴的なスタイルを実現としつつ、自然な操縦安定性を可能にした。そのほか、ワイヤーハーネスなどが見えないハンドル廻り、横向きに配置したリヤショックユニット、溶接跡が見えないフランジレスタンクなどが特徴である。
主な諸元は、全長2,572mm×全幅925mm×全高1,165mm、シート高695mm、ホイールベース1,799mm、乾燥重量314kg、内径φ100mm×行程118mm、排気量1,854cm3、圧縮比9.48:1、最大トルク167.8Nm/2,500rpm、タイヤサイズ前120/70-21、後210/40R18など。最高出力は公開されていない。