ソニーは、デジタル一眼レフカメラ「α700」、および交換レンズの発表会を東京・銀座ソニービルで開催した。会場では、デジタルイメージング事業本部 AMC事業部副事業部長の石塚啓一氏と、取締役執行役員常務の鹿野清氏が出席し、α700について詳細を語った。
αユーザーが待ち望んでいた中級機
ソニーはコニカミノルタからカメラ事業を引き継いだが、ラインナップは昨年7月に発売された「α100」しかなく、多くのαユーザーは上位機種を待ち望んでいた。1年4ヶ月が経過し、ついにαシリーズの第二章として中級機の「α700」が発表された。今回発表されたα700はPMA2007で発表された2機種のうち、ハイアマチュア向けモデルにあたる。
はじめに、石塚氏がα700の製品説明を行なった。α700の商品コンセプトは"撮るこだわり"と"観るこだわり"としており、撮影から鑑賞まで最上の画質を提供していくという。
"撮るこだわり"については、「中級機としての高性能・高機能を備えるため、新開発CMOSセンサー『Exmor(エクスモア)』と画像処理エンジン『BIONZ』を搭載し、高画質撮影を可能にしました。『Exmor』は、センサー上でカラム(列)ごとにAD変換を行ないデジタル信号を出力するオンチップ・カラムAD変換と、AD変換の前後でノイズ処理を行うデュアルノイズリダクション回路の2段階でノイズ低減処理を行ないます。進化した画像処理エンジン『BIONZ』も2段階のノイズ低減処理を行ない、併せて4回ものノイズ処理で、ISO 3200の高感度でもきれいな画像を可能にしています」と語った。
α100で好評を得た「Dレンジオプティマイザー」には、5段階の設定ができる「アドバンスレベル」機能や、補正効果を変えて3枚同時に記録できる「アドバンスブラケット」撮影機能を備えた。また、ボディ内手ブレ補正機能もジャイロ出力フィルターの最適化や、高周波の小さな振幅に対する追随性能などが向上し、補正効果を最大4段分まで高めたという。
撮影に集中しやすいよう、ボディは軽量化を重視した。「α700の"700"という数値より小さい690gを実現しました」と、クラス最軽量をアピール。また、より多くの人に快適な撮影を楽しんでもらえるように、大口径レンズや縦位置グリップなどのアクセサリーを充実させている。
縦位置グリップは、横位置同様の操作性とボールディング感を重視し、ボタンを配置したという。カメラ同様のマグネシウム外装を採用し、防塵防滴処理も施されている。機能や外装だけでなく、撮影者が気持ちよくシャッターを切れるようオーディオ事業部と共同開発してシャッター音にもこだわった。
"観るこだわり"については、「α700はHDMI端子を搭載し、同社のハイビジョンTVのブラビアと繋いで楽しむ写真鑑賞を『BRAVIA プレミアムフォト』と名付けました。ソニーはこれをデジタル写真の新しい鑑賞方法として提案します」と語った。先日発表された新ブラビアにHDMIケーブルでα700と繋ぐと、自動的に輪郭処理・色再現など写真に最適な画質の「フォトモード」に切り替わるという。
さらに"観るこだわり"のひとつとして、カメラ本体にも92万画素の3.0型エクストラファイン液晶を搭載し、高画質の画像を屋外でも確認しやすいようにした。写真プリントなみの高精細表示で、解像度はα100に比べると4倍に強化されている。
また、α700はCMOSセンサーからはじまり、画像処理エンジン、液晶モニター、リチウムイオンバッテリー、メモリーカードなど、ほとんどすべてを自社開発のデバイスでまかなっていると、家電メーカーの強みもアピールしていた。
新開発CMOSセンサー。ソニーはイメージセンサーにも名前を付けた。今後は「Exmor」ブランドを定着させていくという |
690gの軽量ボディをアピール。たマグネシウム外装を採用し、防塵防滴のためにシーリングもしっかり施している |
店頭販売を強化したプロモーションを展開
続いて壇上に上がったのは鹿野氏。ソニーとしての一眼レフ市場への販売計画を語った。「ソニーはコニカミノルタからカメラ事業を引継ぎ、αマウントとレンズ資産、ボディ内手ブレ補正などの技術を継承しました。新規ユーザーの獲得にも力を入れ、カールツァイスレンズの導入やAV機器との連携を強化してきました。ソニーは『伝統と挑戦』をテーマに、より一眼レフビジネスの基板作りに力を入れていきます」。また、「2006年に初めて投入したα100は、2007年のカメラグランプリ審査員特別賞を受賞するなど、この1年でブランドイメージは認知定着したと考えています」と語った。一眼レフ市場参入時の目標シェアの10%も達成したという。
α700は年末商戦を戦っていく商品として、店頭販売にも力を入れるという。まず、より多くの人に見て、触ってもらえるように全国8都市で「α700体験イベント」を開催。目標動員数は5,000人としている。併せて店頭販売を強化するために、特約店の勉強会とユーザーミニ体験会として「α700トラックキャラバン」も開催する。これは3台のトラックにα700と説明員が乗り込み、全国200カ所を回るというもの。9月7日から銀座ソニービルでも先行展示される。
販売店の店頭でもブラビアで写真を鑑賞する「BRAVIAフォトプレミアム」を体感できるように、α700とブラビアを同時にディスプレイしてもらうよう、各店にプッシュしていくという。写真をハイビジョンで鑑賞することにかなり力を入れているようだ。
最後の質疑応答で「ライブビューを搭載しなかったのはなぜか?」という質問が出された。石塚氏は「かなり前から検討を進めており、ソニー独自のライブビュー機能の開発も進めている。α700は軽量化などの大きさを重視したので採用しなかったが、今後を期待してほしい」と答えた。「PMAで参考出品されたフラッグシップ機の発表時期は?」という質問に対しては、「順調に開発中です。もとから来年度以降の発表としていたので、期待していて下さい」と締めくくった。
新ブラビアの販売スペースにもα700を設置し、「BRAVIAフォトプレミアム」をアピールするという |
「トラックキャラバン」は、特約店の勉強会とユーザーミニ体験会として全国200カ所を3台のトラックで巡回していくイベントを展開する |
細部に中級機のこだわりが見える「α700」
以下では、発表会で展示されていたボディや外観をお伝えしたいと思う。「シャッター音もこだわっているのでシャッターを押してみて下さい」「縦位置グリップは横位置同様の操作が行えるよう、シャッターボタンの配置など操作しやすい位置に配慮しています」など、解説スタッフが、中級機らしいこだわりを熱く解説していたのが印象的だった。