9月1日、劇場用アニメ『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』が全国映画館にて公開された。初出のテレビシリーズの放送から12年、旧劇場版の公開からじつに10年を経て、全4部作で語り直される『ヱヴァンゲリヲン』の物語。今回の記事では、新宿での初日の模様をお伝えする。なお新宿での公開はシネマスクエアとうきゅうと報じられていたが、同じビル内でより収容数の多い、ミラノ1へと上映館が変更されている。
新宿ミラノ1前に集まったのは上映1時間前の朝7時で約700人! 広場をぐるりと取り囲む形で列が作られていた |
列の前半部分。最も早い人は前日の20時から並んでいたとのこと。報道陣の姿もやはり多く見られた |
時折小雨がパラつくなか、7時の開場までに劇場前に集まったファンはおよそ700人。8時から行われた初回上映までには1,000人以上が劇場へと詰め掛け、満席で立ち見も出る大入りとなった。観客層は10代から20代が中心で、意外なほど女性の姿が目立っていた。私見では2割~3割ほどが女性といったところ。本作がSFロボットアニメという枠を超えて、幅広い層に認知されていることがうかがえる。若いファンも多く、先頭グループにはテレビシリーズ放送時まだ小学校低学年だったという大学生の姿も。劇場前は『新劇場版』の誕生を待ちわびる人々の期待感で独特の高揚感に包まれていた。
先頭に並んでいた方のなかには女性の姿も。放送当時はまだ中学生だったとか。全体的に女性の姿はかなり多い |
列のなかにはレイとアスカの姿も。おふたりとも終電直後から並ばれていたそうです |
さて、プレスとして取材や撮影が行えるのは開場までなので、ここからはあらかじめ準備したチケットを手に列へと戻り、いち観客として再び場内へ。作品内容についての具体的な言及はここでは避けるが、スタッフロールが流れてもほとんど誰も席を立たず、皆が息を潜めるように静かにスクリーンを見守っていたのが非常に印象的だった。その期待に応えるかのように、「総監督 庵野秀明」という文字が消えると、2008年公開予定の続編、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』の予告編が上映。わずかな秒数に詰め込まれた未知の映像を前に、場内からは「わあっ」という驚きと喜びに満ちた歓声が上がる。
予告編終了後は満場の拍手が送られた。拍手と同時に、私語を我慢していた人々が堰を切ったように感想を語り合うという光景も、やはり『ヱヴァ』ならでは。ただかつての劇場版のように難解な部分の解釈を巡って困惑するという趣ではなく、皆一様に楽しげな表情で、新鮮な映像体験について言葉を交わしている。かつてのファンから新しいファンまで、受け取り方は様々だが、場内の誰もが生まれ変わり、再び始まった『ヱヴァンゲリヲン』を歓迎していた。新宿という限定的な場所からの報告だが、我々の前についに姿を現した『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』はこのように極めて幸福な形で初日を迎えている。
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』は全国約90館で公開中。上映館は順次拡大されるので、公式サイトの劇場リストをチェック |