NTTドコモは、2.5GHz帯を用いた移動無線アクセスシステム事業への新規参入に向け、アッカ・ネットワークスと提携することを発表した。アッカがモバイルWiMAXによる同事業者免許取得を目指すための企画会社として設立したアッカ・ワイヤレスに、NTTドコモが出資するとともに、事業運営で協力体制を築く。総務省が免許を与えるのは2社だけとされており、"2議席"を巡る有力通信事業者の争奪戦が熱を帯びてきそうだ。

両社は、アッカ・ワイヤレスを主体として事業者免許を申請し、同免許を取得できれば、同社を中核としてWiMAX事業を展開する方針だ。アッカは、有線ネットワークの運用や営業など業運営全般を担い、NTTドコモは、無線ネットワークの構築、無線技術について支援する意向だ。

アッカは、NTTドコモと組んだことについて「同社が携帯電話事業者として培ってきた実績・ノウハウなどから、本事業における最適なパートナーと判断した」としている、NTTドコモはアッカについて、「グローバルスタンダードをベースにしたオープン/水平分業モデルの実現というWiMAX事業における基本方針に賛同し、今回の合意に至った」としている。

アッカ・ワイヤレスはアッカの100%子会社で6月に新設を決めており、当初の資本金は3億円とされていたが、今回の提携にともない「総額720億円程度の増資を予定している」と発表した。出資額は、アッカが40%以上で約300億円、NTTドコモは約190億円の予定だという。アッカの出資は、同社を連結子会社として経営を主導するために必要な比率であり、NTTドコモは、総務省が発表した事業者免許申請要件が、第3世代携帯電話事業者が同事業に参加する場合、3分の1以下の出資による事業とされているため、このような出資額とした。また、両社は他のパートナーとの提携も考えている。

NTTドコモの中村維夫社長はかねてから「モバイルWiMAXは3分の1以下の出資なら参入できるので、NTTグループとして、他社と組んで免許取得を目指したい」との意向を示していた。KDDIは、大株主である、京セラ、トヨタ自動車などと連携するのではないかとの観測があるほか、ソフトバンクは、イー・アクセスと共同で、事業化への準備を進めている。これら携帯電話事業者とは一線を画すPHS事業者のウィルコムは、モバイルWiMAXとは異なる「次世代PHS」での参入を目指している。