ニコンは、コンパクトデジタルカメラ「COOLPIXシリーズ」の計8モデル、および新サービス「my Picturetown(マイピクチャータウン)」の発表会を開催した。インターネットを利用したサービスを実際に体験できるように、会場には多くのノートパソコンやインターネット回線が用意されていた。今回の発表は日米同時で行われたという。
EXPEEDを投入したCOOLPIXシリーズ
発表会はニコン マーケティング本部ゼネラルマネージャーの中山正氏による新製品の紹介と販売実績の報告から始まった。販売実績は昨年、過去最高の売上高・営業利益を記録し、2007年度の第一四半期の数字も去年を上回っているという。
製品紹介で画像処理技術「EXPEED(エクスピード)」と、長年培ってきた光学技術のニッコールレンズの2本柱でニコンブランドを強くアピールすると語った。「EXPEED」は画像処理エンジンだけでなく、画像処理技術を包括的に表す名称であると改めて強調。COOLPIXシリーズは、ユーザーニーズの多様化に合わせ、高性能・高機能のPシリーズ、薄型コンパクトのSシリーズ、エントリー向けのLシリーズを展開しているが、その全モデルに「EXPEED」が投入されている。
新ラインナップは、木村拓哉氏のCMが好評だったS500の後継機としてS510が設定された。実質的に、これがシリーズの中心になるモデルだろう。また、S700やP5100など、1200万画素のモデルが増えたのも興味深い。COOLPIXのイメージキャラクターは引き続き木村拓哉氏を採用し、テレビを含めた広報活動を展開していくという。
新製品ラインナップで目を引いたのは、赤系のカラーバリエーションが増えたこと。S510は従来のシルバー、アーバンブラックにラズベリーレッドが追加された。スリムボディが特徴のS51は、グロスシルバーの他にワインレッドとビビッドピンクが用意されている。従来モデルのS200もカラーバリエーションにレッドが追加された(9月21日発売)。S51については「女性ユーザーを意識したモデル」と中山氏は語り、波のようなスタイリッシュなデザインと屈曲系光学系レンズを採用したフラットなスリムボディも女性のためのデザインという。
新しい写真の世界「my Picturetown」
ニコンはカメラとインターネットを融合させた写真の楽しみ方を提案し、新サービス「my Picturetown」を開始すると発表。会場ではひとりひとりに無線LAN機能を搭載した「S51c」を渡し、「my Picturetown」を試してもらうという力の入れようだった。
「デジタルカメラはここ数年でかなり普及しましたが、フイルム時代のカメラの概念をデジタルに置き換えただけで、まだデジタル世界の入り口にいるのではないか?」と中山氏。ニコンは高性能カメラを追求してきたハードウエアの会社だが、ユーザーのほとんどは、「カメラそのもの」ではなく「撮った写真を見て"懐かしい""楽しい"と、思い出として楽しむ」ためにカメラを購入していると語り、写真の最終的な目的である"写真を楽しむ"ための新サービスが「my Picturetown」であるという。
「my Picturetown」は、撮影した画像の保存、閲覧、伝達をインターネット上で行うというもの。中山氏は「my Picturetown」を開始するにあたり、インターネット会社インターネットデバイスの会社などから新らたな人材を招き、社内社外と広く人材を集め、開発を検討。この新しいサービスのリーダーとして、ソニーでAIBO(アイボ)のプロジェクトも務めた大槻正氏をプロジェクトリーダー迎え入れた。
「my Picturetown」の解説は大槻氏が行なった。「my Picturetown」は写真をアップロードし、広く公開するのが基本機能。パソコンや携帯電話で見ることができ、メールによる転送サービスも可能。保存した画像は自身のブログにリンクして貼り付けることもできる。「my Picturetown」は無料で2GBまで利用できるフリーアカウント会員と、月額350円(税込)で20GBの画像保存ができるゴールドアカウント会員が用意されているが、お試し期間として来年2月末まではゴールドアカウント会員も無料となる。現在、このサービスは日米のみだが、将来的には全世界で利用できるようにするという。
もう一方で、ニコンは2005年に世界で初めてデジタルカメラに無線LAN(Wi-Fi)通信機能を搭載し、デジタルカメラとインターネットの親和性の向上を推進してきた。今回発表されたS51cは、無線LAN通信機能を搭載する7モデル目にあたる。この無線LANによる通信機能と「my Picturetown」を組み合わせれば、パソコンを使わなくても画像が送信できるし、無線LANスポットを利用すれば外出中でも同じことができてしまう。
発表会中に1人1台S51cが配られ、実際に体験することもできた。画像を転送する操作では、多くのヘルプスタッフが会場を走り回り、親切に解説していた。それだけニコンが「my Picturetown」に力を入れているということなのだろう。慣れてしまえば携帯電話同様に写真の送信が可能になると感じた。大槻氏によると、写真をアップロードするまでの操作は、従来のS50cでは14回ボタン操作が必要だったが、S51cでは4回に減ったという。
「my Picturetown」を目標登録者数と広めるための戦略は?という質問に、大槻氏は、「会員数の獲得についてはインターネットを活用してプロモーションをしたいと考えています。目標とする登録者数は、2009年3月までに国内外の有料無料会員をあわせて100万人の会員を目標にしている」と話した。