高精細なフィルムスキャンにはスキャナドライバ「ScanGear」を使用すると便利である。ScanGearの「拡張モード」から画像設定の項目を選択することでフィルムの補正をユーザーが任意に行えるのはありがたい。すべて自動で行うとイメージと違う画像になることもあるからだ。

あらかじめお断りしておくと、ただ単にフィルム整理のために使用したいということであれば、わざわざ拡張モードを使用しなくてもEZボタンを押し自動判別させて取り込むほうが時間をかけず簡単に整理できる。また、ScanGearには拡張モードとは別に基本モードで補正を行うことも可能だ。細かな設定はしたくないというユーザーはこちらを選べばよい。

スキャナドライバ「ScanGear」のインタフェース画面

フィルムをスキャンするには、付属のフィルムホルダを使用する。スリーブ状の35mmフィルムであれば6コマ2列の固定が可能だ。フィルムは両サイドを押さえ平面性が保たれるようになっているので、スキャナとの間にできるニュートンリングと呼ばれる同心円状の縞模様が出にくいようになっている。別のホルダを使用すればマウントされた35mmフィルムを4コマ、それ以外にもマウントされていないシート状のブローニーフィルムもスキャンが可能になっている。反射原稿からフィルムスキャン時に変更する際に行う保護シートの着脱も固定されたツメをはずすだけでよく、設定に手間取ることはない。

付属のフィルムホルダ。35mmフィルムはマウントフィルムで最大4コマ、スリーブで最大12コマのスキャンに対応している。ブローニーフィルムはスリーブ状のフィルムのみ対応

ScanGearを使用するにはMP Navigator EXを起動させ「フォト-1」ボタンを押し「フォト-1 設定画面」が表示されたら、読み込み設定を「スキャナドライバを使う」でチェックしておく。もし自動判別や任意に設定したいときには「原稿の種類」をプルダウンメニューから設定すればよい。

MP Navigator EXを起動し、読み込み時にスキャナドライバScanGearを使う設定をする

スキャナドライバScanGearを開いたら拡張モードから画像設定を「自動色補正、輪郭強調ON」の初期設定状態でスキャンする。輪郭強調は後からAdobe Photoshopなどで補正することも可能だが、あまり強いシャープネスがかけられていないのでONにしておくほうがおすすめだ。ただ、自動色補正は自宅プリントを意識しているせいか彩度が若干高めに設定されている。Photoshopなどで補正を前提にしているのであればOFFにするか、彩度・カラーバランスのパラメータを若干下げておくほうがよいだろう。また、ごみ傷除去機能は、かなりの精度できれいにごみや傷を除去することが可能だ。4800dpiなど解像度が高くなるにつれて当然小さなごみも大きくなるので、高解像度出力のときは「強」設定にして、それ以外は標準で常用するのがよいだろう。ごみのサイズや形状によっては当然消せない場合もあるが、そういったときには同梱されているAdobe Photoshop Elements(Windows版は5.0、Mac版は4.0)のスポット修復ブラシツールを使用すれば問題は解決するはずだ。

詳細な設定が可能なScanGearの拡張モード

そのほか、退色し褐色化した写真には褐色補正や高感度フィルム使用時の粗くなった粒子を抑える粒状感低減を、逆光写真には逆光補正をプレビューで確認しながら設定を行えばよい。プロユースという視点で見るならば、詳細な設定が可能な拡張モードで入力することを是非おすすめしたい。

では次のページでは、実際にスキャンした画像を見ていこう。