ニコンは、DXフォーマット、有効画素数1230万画素のデジタル一眼レフカメラ「D300」を発表した。D200の後継機となるこの製品は、ゴミ取り機構やライブビューモードが搭載されており、オープン価格で市場予想価格は23万円前後。発売日は11月を予定している。
ニコンは、1999年発売の「D1」以降、撮像素子サイズを「DXフォーマット」(約24×16mm)に統一してきた。今回、D300と同時に発表された「D3」はフルサイズのFXフォーマットを採用したが、長く培ってきたDXフォーマットはデジタル一眼レフの性能、コストなど、総合的な最適バランスを持つフォーマットとして、今後も中心的に使用されていく。D300は人気の高かったD200の後継機であると同時に、DXフォーマットのフラッグシップ機に位置づけられることになる。同社の歴代DXフォーマット機と比較しても、画質、高速性能、操作性、耐久性など多くの点で、最高のパフォーマンスを実現している製品だ。
D300が使用する撮像素子は有効1230万画素のCMOSセンサー。先日ソニーからCMOSセンサー「IMX021」が発表されたが、D300のCMOSはこれをベースに専用のカスタマイズを施したもので、汎用品ではないという。撮像感度はISO 200~3200が常用域。さらに1段の増減が可能で、トータルではISO 100~6400相当の範囲で使用できる。
また、ニコンとして初のゴミ取り機構「イメージセンサークリーニング」がD300に搭載された。光学ローパスフィルタを4種の共振周波数で振動させ、きめ細かくゴミをふるい落とすというもの。ちなみにD3には同機能が搭載されていない。
連写性能は、通常(EN-EL3e使用時)約6コマ / 秒だが、別売のマルチパワーバッテリーパック(MB-D10)やACアダプタ使用時には最高で約8コマ / 秒、連続100コマの撮影が可能になる(いずれも1230万画素撮影時)。また、次世代の高速CFカード(UDMA)規格にも対応した。起動時間約は0.13秒、レリーズタイムラグ約0.045秒、ファインダ像消失時間約0.1秒となっている。耐久シャッター回数は15万回をクリアする。
オートフォーカスには51個のAFポイントを持つ「マルチCAM3500DX」オートフォーカスセンサーモジュールを搭載。中央部の15点は、装着レンズの開放F値がF5.6でもクロスセンサーとして機能する。移動被写体の画面内平面方向の動きをAFポイントが自動的に追尾する新機能「3D - トラッキング」を新たに搭載した。また、光学ファインダの視野率は100%を実現している。
液晶モニタで被写体を確認しながら撮影できるライブビューも可能になった。AFは2種類が使用できる。「手持ち撮影モード」は構図調整を目的としたモードで、通常のAF撮影と同様にTTL位相差検出方式でピントを合わせる。「三脚撮影モード」は厳密なピント合わせを目的としたモードで、コントラスト検出方式によるピント合わせが、画面上の任意の位置で可能になる。液晶モニタは、約93万画素3型低音ポリシリコンTFT液晶で、視野角は上下左右170度である。
画像処理に関しては、「EXPEED (エクスピード)」 と名づけられたコンセプトが導入された。これは処理エンジンの名称ではなく、システム全体の名称だという。新たに採用された「ピクチャーコントロール」は、画(え)作りの選択や調整が簡単にできる設定システム。機種が異なっても同じ設定であればほぼ同じ画作りの画像が得られるという。D300では「スタンダード」「ニュートラル」「ビビッド」「モノクローム」の4種が用意され、個別に補正も可能。また、従来のニコン製デジタル一眼レフで採用された「D - ライティング」は、撮影した画像を後から編集する機能だったが、D300ではそれに加えて、撮影前に選択する「アクティブ D - ライティング」を搭載した。
別売のマルチパワーバッテリーパック「MB-D10」(価格未定)では、本体内のバッテリーは装着したまま取り付ける方式に変更された。MB-D10に収納可能なバッテリーはD3などに使用されているバッテリーEN-EL4a / EN-EL4を1本、または単三形電池8本が使用でき、この場合約8コマ / 秒の連写が可能になる。D300標準のバッテリーEN-EL3eは1本で約6コマ / 秒となる。なお、複数種類のバッテリーを併用できるようになったため、使用するバッテリーの優先順位を指定できるようになった。
ワイヤレストランスミッター「WT - 4」(別売、価格未定)は、有線・無線LANをサポートし、新機能としてサムネイルセレクトモードを搭載した。パソコン上からカメラ内の画像をサムネイル表示し、選択した撮影画像のみをパソコンに転送できる。また別売の「Camera Control Pro 2」と併用すれば、ワイヤレスでライブビュー機能やコントロール撮影が可能になる。