シャープは、次世代液晶テレビの技術サンプルを公開した。有機EL/SEDなどの自発光ディスプレイは、次世代のディスプレイとして脚光を浴びてはいるが、具体的な製品がなかなか登場してこない。そんな中、同社では、既に実績のある液晶という方式の高性能化により、有機ELなどの自発光型ではない液晶というデバイスで、次世代テレビにふさわしい高画質化、薄型化、環境性能を実現していくという。

超薄型の技術サンプル。透明な板に取り付けられているために、宙に浮いたような感じ

尋常ではない薄さ

公開されたモデルは、52V型の液晶テレビで、ディスプレイ部分の厚みが20mm、最厚部分でも29mmという超薄型。コントラスト比は100,000:1という現時点での最高レベルを実現。また、リビングコントラストでも3,000:1を実現している。色の再現性はNTSC比で150%となっており、ブラウン管の70%を大きく引き離している。応答性も4msと高レベル。質量は25kgで、現時点で発表されている52V型のテレビとしては最軽量。年間消費電力は140kWh/年で、今までの同サイズの液晶テレビの約1/2を実現している。

フルHD映像のワイヤレス伝送技術なども実装されている。今回発表された技術サンプルは、バックライトや偏光板など、個々の技術のブレークスルーを図った結果とのことで、何か特別なことを行っているというわけではなく、現時点での技術の一応の到達レベルを示すためのものとのことだ。そして、これにとどまらず、今後更なる薄型化や高画質化、軽量化も進めていくとしている。

また、2010年に本格稼働予定の境工場では、この新世代の技術をフルに盛り込んだ液晶テレビを主力モデルにしていくとのことだ。

いずれにせよ、写真を見ていただければわかると思うが、従来の薄型テレビとはかけ離れた薄さが特徴的だ。もちろん、このテレビがそのまま販売されるというわけではない。しかし、今後、同社のテレビでは、今回の技術サンプルに使用されたさまざまな技術を盛り込んでいくとのことで、今後発表されるモデルが楽しみになってきた。

また、この薄さにより、レイアウトの幅/デザインの幅も広がるとしており、映像で部屋を区切る衝立タイプや、リモコンで台からテレビが競り上がってくるポップアップスタイル、テレビのある空間を箱庭的に作り込んだスタイルなど、インテリアとしての提案が何種類かなされている。

インテリアとしての提案はどこまで本気なのかはわからないが、テレビは、圧倒的な存在感だった。

壁掛け設置のサンプル。このぐらいの薄さになると、壁に掛けても違和感はないし、また、筆量が軽いため、壁の補強工事を行わなければならないケースも少なくなる

衝立タイプの提案

ポップアップタイプ。リモコン操作で、下の台からテレビがせり出してくる

箱庭タイプ