ソニーは、デジタル一眼レフ用のAPS-Cサイズ1247万画素CMOSイメージセンサー「IMX021」を製品化したと発表した。独自回路でA/D変換を列単位で行うことで、秒間約10フレームの高速撮影と、低ノイズな高画質が実現できるとしている。同社ではデジタル一眼レフカメラ市場に向けて、同製品を社内外に向けて積極的に販売するとしている。
CMOSイメージセンサーでは、アナログとデジタルの両回路を同一チップ上に集積化できるのが特徴。IMX021ではA/D変換回路を画素の垂直列枚に並列配置した「列並列A/D変換方式(カラムA/D変換方式)」を採用している。この方式によりアナログ信号伝送中に混入するノイズを抑えられると同時に、全画素読み出しモード時に12ビット出力で10.39frame/sの高速読み出しを可能にした。A/D変換を並列に処理するため、画素数やフレームレートが増加しても、並列処理をしない場合と比べて低い周波数でA/D変換が行えるという。これにより、高周波数帯域のノイズ成分の影響を受けず、高画質化が実現できるという。また、同回路ではアナログとデジタルの双方にCDS(Correlated Double Sampling:相関2重サンプリング)回路を設置することでアナログ回路で発生するノイズに加え、A/D変換処理のばらつきも低減し、ノイズの少ない信号をカメラ本体の画像処理回路に送出できるという。
なお、IMX021を含むCMOSは、部分読み出しが可能な「窓読み出し」にも対応できるのが特徴。窓読み出しは、デジタル一眼レフカメラでは、CMOSセンサーを採用したニコン「D2X/D2Xs」の「クロップ高速モード」で採用されている。IMX021の生産はソニーセミコンダクタ九州の熊本テクノロジーセンターで行われる。
今後ソニー製イメージセンサーを採用するαシリーズの新モデルのほか、ニコンやペンタックスからのIMX021搭載製品登場が期待される。