キヤノンは有効画素数2110万画素、35mm判フルサイズ(約36×24mm)のCMOSセンサー(撮像素子)を搭載したプロ用デジタル一眼レフカメラ「EOS-1Ds Mark III」を発表した。発売は2007年11月下旬を予定。価格はオープンだが、EOS-1Ds Mark IIと同程度になる模様。
同社プロ用デジタル一眼レフカメラには、高速連写重視の"1D"系と、フルサイズ撮像素子を採用した画素数重視の"1Ds"系のふたつのラインがあるが、今回発表された「EOS-1Ds Mark III」は後者の最新モデルであり、「EOS-1Ds MarkII」の後継機にあたる。1D系の最新モデルである「EOS-1D Mark III」は今年の5月に発売されたばかりであり、同モデルで採用された最新技術が1Ds系にも搭載されたことになる。
EOS-1Ds Mark IIIは、自社開発の有効約2110万画素(総画素数約2190万画素)、35mm判フルサイズのCMOSセンサーを搭載。画素サイズは従来機(EOS-1Ds Mark II)の7.2μmから6.4μmに縮小したが、フォトダイオード構造の最適化やプロセスの微細化により、ISO100~1600の常用設定を実現した。ISO感度拡張により、L:ISO50、H:ISO3200も選択可能。
映像エンジンは「DIGIC III」を2個搭載。並列処理を行うことで、従来機種の約4倍という高速処理が可能になったという。また、カスタム機能により高感度撮影時や長秒撮影時にノイズ低減処理を行うこともできる。また、A/D変換処理は従来機種の12bit(4,096階調)から14bit(16,384階調)に向上した。
連続撮影は、すべての記録画質で約5コマ/秒を実現。内蔵メモリーの容量アップと現像処理シーケンスの改良などにより、連続撮影可能枚数はJPEG・ラージで約56枚、RAWで約12枚となった。さらにCFカードの新規格「CFA4.0 UDMA Mode」に対応。「EOS-1D Mark III」の約2倍の画素数ながら、ほぼ同等の書き込み時間と、JPEG・ラージで約63枚の連続撮影可能枚数となる。
新設計の大型ペンタプリズムを採用し、ファインダーは視野率約100%、倍率約0.76倍(視野角約35°)を実現した。オートフォーカスには19点のクロス測距点と26点のアシスト測距点を備えたエリアAFシステムを搭載。任意選択できる19点は、F2.8光束対応縦線検出とF5.6光束対応横線検出のクロスセンサーを備える。レリーズタイムラグは55ms、ファインダー像消失時間約は80ms、起動時間約は0.2秒。シャッターユニットは作動耐久30万回を達成している。
超音波振動を利用し、赤外吸収ガラスの表面に付着したゴミを振るい落とす「セルフクリーニングセンサーユニット」を中心とした、センサーダスト対策「EOS I.C.S.」も搭載。ボディはマグネシウム合金製で、シーリングやパッキン処理による高い防塵・防滴性能も実現している。
CMOSセンサーからのリアルタイム映像を液晶モニターで確認しながら撮影できるライブビュー撮影機能を搭載。付属ソフトウエアを使用することで、パソコンのディスプレイを見ながらの撮影も可能。EOS 40Dとは異なり、オートフォーカスは使えない。