Mac Pro 3GHzデュアルコアでのRAWデータの読み込み、書き出し時間

DigitalDarkroomの大きな特徴であるRAW現像のスピードを検証するためにMac Pro 3GHzデュアルコアlで速度テストを行った。比較として、RAW現像が可能な「SILKYPIX Developer Studio 3.0」「Adobe Lightroom」「Aperture」も計測している。テストは、EOS 10D(600万画素)のファイル100枚についての読み込み及びJPEGデータへの書き出しを3回ずつ行い、その平均値を掲載している(計測値が不安定な場合は5回以上測定してその中から近い数字を3つ選んで平均値を掲載)。

Mac Pro 3GHzデュアルコア(4GB RAM))
テスト項目 RAW読み込み JPEG書き出し
DigitalDarkroom 7秒 59秒
SILKYPIX Developer Studio 3.0 12秒 523秒
Adobe Lightroom 51秒 152秒
Aperture 42秒 111秒

結果は表のとおりだが、DigitalDarkroomは、Mac Proでの読み書き双方において圧倒的な速さで、RAW現像処理におけるユーザの精神的なストレスが大きく軽減されることは間違いないだろう。ただし、原稿制作時にダウンロード可能だったバージョンは、一部のMacで速度が低下する症状が出ており、ジャングルでは近日中にアップデータにて改修対応するという。編集部でもMacBook Pro、MacBook、Power Mac G5、iBook G4で検証してみたが、それぞれ速度の低下が見られた。

また、カメラマンが撮影現場で使用するという想定のもとにCoreDuo 2GHzプロセッサ(2GBメモリ)搭載のMacBook Proで実際に操作する検証も試みた。作業に使用したのはニコンD2XsのRAWデータで、1枚約11MBのもの。原寸表示/画面サイズに合わせた表示の切り替えや、ターゲットとなる画像の切り替えなどでは表示されるまでに多少間があるが(モザイク状態で表示される)、調整機能を利用している分には、ほとんど気になるような表示の遅れは感じられず、スムーズに作業を行うことができる。画像の再表示などにはハードディスクの性能も関係してくるので、高速なハードディスクを使用しているならさらなる高速動作も期待できるだろう。

パラメータの操作は容易

調整作業は、まずスライダで、おおまかな調整を行ない、数値の直接入力で微調整を行なっていくと効率的に作業できるだろう。タイトルバー左にあるグリーンの三角部分をクリックすると効果を一時的にキャンセルすることができるので効果の具合を簡単に確認することができ、タイトルバー右の矢印をクリックすると、設定してある調整を初期状態に戻すことができる。

豊富な調整機能。タイトルバーのクリックで表示/非表示を切り替えられ、左の三角で効果の一時キャンセルが、右の矢印で初期化画可能。項目は図のように11に分けられていて、それぞれに詳細な調整が可能になっている

また、調整したパラメータは"レシピ"として保存/読み込みが可能になっているので、同一条件での撮影で同じように補正したいといった場合に便利。このレシピを利用しての一括処理も可能なので、大量に処理を行なう場合などもコンピュータに処理を任せることができる。

画像に加えた調整は"レシピ"として保存/読み込みが行なえる。レシピマネージャではレシピの削除や名前の変更などの管理ができる

このように操作は簡単で現像処理ビギナーにも、スキルのあるユーザーにも納得のいく調整が行なえるが、傾き調整だけは使いづらい。というのも、スライダを操作しているときにプレビュー上にグリッドが表示されるのだが、これが数値入力時には表示されないのでコンマ何度という微調整をするとき時にグリッドを参考にできない。グリッド表示はハイライト/シャドウ警告表示などと同様に、常に表示することができるようになるといいのだが。全体の操作性が快適なだけにこの点は残念だ。

傾き調整時のグリッド表示。スライダを操作しているときにしか表示されないのが残念

現像処理は画像1枚ずつ、あるいは複数の画像を一括で処理することが可能で、その際には現在画像に行なわれている調整を利用するか、レシピを利用するか、出力先、ファイル名、ファイル形式(JPEG、TIFF 8bit、TIFF 16bit)、画質(ファイル形式でJPEG選択時のみ)、画像の大きさ(100%~25%)などが設定できる。画像1枚をエクスポート(同ソフトでは現像処理・保存作業をこう呼ぶ)してみると、エクスポートのボタンクリックからダイアログが消えて作業が終了するまでにかかったのは13秒。十分高速な処理ができているといっていいだろう。ただし処理速度はどれだけパラメータを調整しているか、とくにシャープネス処理をしているかどうかによって変化するようだ(筆者の環境ではシャープネス処理を加えた場合は30秒かかった)。

ファイルのエクスポートダイアログ。JPEGでは画質をを5段階で、TIFFでは8bitと16bitが、ファイルの解像度では画像のサイズを100・50・25%の3段階から選択できる

ファイルの一括処理ダイアログ。一括処理したい画像を左側で選択し、サムネイルエリアで選択されている画像の設定を使うか、レシピを適用するかを選択して実行する。1枚処理を行なっておき、残りの画像を同じように処理したい場合に便利だ

ファイルの一括エクスポートダイアログ。左で処理する画像を選択し、出力先、画像形式などを設定して処理を行なう

仕上がった画像クオリティは高いレベルにあり、容易な操作性もあって十分納得のいく状態に仕上げることができた。気になったのはシャープネス。強力なシャープネス設定が可能なのだが、強度と色ノイズ、輝度ノイズの調整しかできないため、ある程度シャープネスを効かせようとすると細かいディティールが消えてしまう場合があった。現像処理時間も大きく変わってくるので、シャープネス処理は普段利用しているグラフィックソフトにまかせてしまってもいいかもしれない。ただし、DigitalDarkroomから直接プリントする場合には適切なシャープネス処理を行なった方がいいだろう。

DigitalDarkroomで現像処理したもの(左)と元画像(右)。ハイライトやシャドウのディティール、グラデーションのトーン、細部の再現なども良好だ。操作も容易で、元画像以上に印象的な写真に仕上げることができた

軽快な動作と豊富なパラメータ、そして使いやすいインタフェースが揃っているDigitalDarkroomは、傾き補正時のグリッド表示のように気になる部分もあったものの、メーカー純正の現像ソフトに満足できないユーザーだけではなく、新しいRAW現像ソフトを探しているユーザーの期待にも十分に応えることのできるポテンシャルを持った製品だといっていいだろう。