方正集団傘下の北京北大方正電子(方正電子)はこのほど、同社が開発した「方正字庫(フォントデータベース)」の知的財産権を侵害したとして、米Blizzard Entertainmentを提訴したと発表した。

方正電子によれば、北京市高級人民法院はすでにこの提訴を受理したという。同社は米Blizzard Entertainmentに対して1億人民元(約16億円)の賠償を求めている。2007年に中国法院が受理したIT情報関連の全ての訴訟を含め、WTO加盟以来、中国企業が知的財産権をめぐって外国企業を訴えた訴訟としては最大のものとなる。

方正電子の発表によると、米Blizzard Entertainmentが開発し、中国のネットゲーム企業に対して中国における独占的代理権を与えた人気タイトル『魔獣世界(World of Warcraft )』において、方正電子の許可なく、方正字庫にある「方正北魏楷書」、「方正細黒一」など5つのフォントが大量に複製されたり、使用されていたという。

Blizzard Entertainmentのこうした行為は、方正電子が所有している方正字庫の著作権を侵害し、10億人民元相当の損害をもたらしたと方正電子は訴えている。

方正電子は中国語フォントサプライヤーの最大手。方正字庫は、方正電子の主力商品「方正電子出版システム」の最も重要な一部だ。海外の中国語新聞出版市場では90%に上るシェアを占めているという。