Adobeの注目されている技術AIR(Adobe Integrated Runtime)の開発者を集めたイベント、「Adobe Apollo Developers Night」、改め「Adobe AIR Developers Night 2007」(以下、Adobe AIR Night 2007)が恵比寿にて開催された。今回は当日の様子をレポートすると同時に、AIR の登場が開発現場のソフトウェアディベロッパー、Webクリエイターにどのようなインパクト、可能性をもたらすかに迫りたいと思う。

Adobe AIR Night 2007は「~Go beyond with Adobe AIR~」と題されており、コードネーム"Apollo"から正式名称"AIR"とした新プラットフォームの可能性を、これからAIRをやってみようというディベロッパー、クリエイターに紹介するイベントだ。

同イベントは、アドビ本社スタッフによる最新情報やロードマップについての紹介に始まり、今回の目玉である、さまざまなバックグラウンドを持つトップクラスのディベロッパーやクリエイターによって作成されたAIRのデモの紹介、そして最後にパネルディスカッションという流れになっていた。つまり、AIRを使ってどのような可能性を拓くのか、といったことを示唆する内容で構成されていたと言える。

また開催時間が18時であったことから、会場に入るなりAdobe特製AIRビールやAIRコーラが配られ、会場全員での乾杯と同時にイベントが開始、と終始リラックスしたムードでイベントが進行したことも特徴的だった。さて、イベントの内容を紹介していこう。

AIRの最新情報とロードマップの紹介

まず2007年中に、Flex SDK(フレームワーク、コンパイラ、デバッカー)をMPLでオープンソース化されることが発表された。オープンソース化に先立ち、バグ情報を集積したバグベースについては、すでに公開されているとのことだった。

続いて、AIRのα版からβ版への追加機能として以下の機能が挙げられた。

  1. コピー&ペースト
  2. 他のアプリケーションへのドラッグ&ドロップ(あるいはファイルとしての生成)
  3. HTMLオブジェクトへの読み込み(PDFの読み込み)
  4. ローカルにSQLデータベースを保持

1~3については5月23日に開催されたAppolo mini Camp@Tokyoや各種媒体にて告知済みだったが、今回新しく告知された4の"ローカルにSQLデータベースを保持"は、特に注目すべき内容だった。

どういうことかと言うと、SQLデータベースが用意されることで、ローカル環境でもWebにおけるDB問い合わせと同じように、テキストや画像などのバイナリデータをローカルのデータベースに保存、検索ができるということだ。それを聞いて、期待が高まる。SQLデータベースとしてはオープンソースのSQLiteが採用され、同じくSQLiteを使用しているGoogle GearsとAPIを整合していくことが今後予定されていると述べられていた。

次に、Adobe本社のテクニカルプロダクトマネージャーであるリチャード・カルヴァン氏より新公開の機能が紹介された。

最初にAdobe Labsより無償で公開されているエクステンションを使用して、DreamweaverでAIRを作成するデモンストレーションが行われた。

次に世界初、Adobe Flash CS3にてAIRを作成するエクステンション(Adobe Labsより公開予定)を使用したデモが続いた。FlashにおいてコマンドからAIRアプリケーションの設定を行い(DreamWeaverと同じ設定画面が用意されている)、Publish設定を変更することで、ムービークリップと同じようにプレビューして、パッケージ化、インストールファイルを簡単に作成するところまでが実演された。

この機能を使用することで、Web用に作成したファイルをそのままデスクトップのアプリケーションにすることが可能になるという。またこれにより、FlashやDreamWeaverで作成されたものを容易にAIRに移行することができるようになる。「今までFlashやDreamWeaverで作成したプロダクトをAIRに移行したらどのような機能が追加できるか」といったことを検討してみるとなかなか興味深い。会場の参加者にはDreamWeaverとFlex3にてAIRファイルを作成するエクステンションが配布された。