3人の作家によるオリジナル脚本3作品を、男女2人×3組が演じる舞台『Love30 vol.2』のゲネプロ(通し稽古)が14日、東京・PARCO劇場で行われ、本番と変わらないセット・衣装で『北向きの女』(出演・純名りさ、内田滋)、『アルゼンチンにて』(出演・鈴木砂羽、尾美としのり)、『箪笥の行方』(出演・小西美帆、羽場裕一)の3作品を披露した。

『北向きの女』(作・青木豪)

『アルゼンチンにて』(作・赤堀雅秋)

『箪笥の行方』(作・田村孝裕)

『Love30 vol.2』は、3人の劇作家による3本のオリジナル脚本を、男女2人計3組の俳優が演じるラブストーリー (各作品のストーリーはこちらを参照)。『北向きの女』は、不動産会社に勤める男(内田)と、元同僚の女(純名)が、思い出話に花を咲かせているうちに、それぞれの過去や気持ちを吐露し始め、お互いの感情が高ぶっていく。純名、内田が表現する感情の触れ幅の大きい演技が、見る者を惹きつける作品に仕上がっている。特に、純名の喜怒哀楽を絶妙なタイミングで切り替える演技は注目だ。

純名りさ

内田滋

『アルゼンチンにて』は、別れた恋人同士の煮え切らない感情を、お互いの微妙な距離感を保ちながら、丁寧に描いた作品で、尾美の安定した演技力と、鈴木の切ない表情が印象的。カラオケボックスを舞台に、二人の距離が近づくのか離れるのか、男と女の駆け引きが始まる。

鈴木砂羽

尾美としのり

『箪笥の行方』は、同棲を解消し引っ越す直前のカップルが、部屋の箪笥を巡って噛み合わない会話を展開。男(羽場)の鈍感ぶりと、女(小西)のストレートな感情がぶつかり、テンポよく話が進む。コミカルで温かいタッチが、悲しいはずのストーリーに光を当てていく。

小西美帆

羽場裕一

ゲネプロ終了後、囲み取材が行われ、出演者6人は「30分の間に感情が凄くうねるので大変。嘘をつかずにできるのかが勝負ですね」(純名)、「30分で起承転結を見せるのは難しいですね。自分がどれだけ楽しめるかを考えて本番に臨みたい」(内田)、「尾美さんに頼りっぱなしでした(笑)。二人芝居は初めての経験ですが、楽しいです」(鈴木)、「結構、緊張しましたし、鈴木さんに甘えっぱなしだった気がします」(尾美)、「監督からは、自由にやってよいと言われたので、思いっきりできました」(小西)、「ボケ役は初めてなので、新鮮で面白かったです」(羽場)と、ゲネプロの感想や本番に向けての意気込みを語った。

誰にだって、自分の気持ちを整理できない時がある。だからこそ、自分の気持ちが思わぬ形で露わになってしまう時がある。人間の心の揺れがシニカルに描かれつつも、心温まる……そんな作品群だ。

同舞台は、東京・PARCO劇場で、8月15日~24日の期間で全15回公演を予定。また、9月5日には名古屋公演(愛知勤労会館)、9月8、9日には大阪公演(シアター・ドラマシティ)も決定している。チケットの購入方法など、詳細はこちらを参照。