インテルは10日、報道関係者向け定例会見「インテル クライアント・レギュラー・アップデート」を開催、同社の最新動向を紹介した。発表から1周年を迎えたCore マイクロアーキテクチャ製品の実績を振り返るとともに、PenrynやNehalemといった、45nmプロセスで製造される次世代プロセッサ製品についての情報などが発表されている。

会場に展示されていたPenrynのシリコンウェハ

アップデートの冒頭はいつものようにインテル代表取締役共同社長の吉田和正氏が登壇し、Core マイクロアーキテクチャ製品の発表1周年を受けての同製品の実績を紹介。10年以上続いたPentimプロセッサからのブランドチェンジという高いハードルではあったものの、Core 2 Duoプロセッサなどが性能向上や電力効率の改善でユーザー・ベネフィットに貢献していることを強調し、「新しいアーキテクチャがユーザーに受け入れられた」と評価する。

インテルの吉田和正氏。「これからもイノベーションをおこして行きたい」と話す

サーバやデスクトップはもちろんだが、特にモバイルでの評価が高いのだという

同氏はまた、次世代に予定される45nmプロセスルールでのプロセッサ製品の投入について、「これだけ大きな市場に対し、45nmプロセスの製品を量産投入しようとしている。45nm製品の登場はインテルにとって特に大きなブレイクスルーになる」と期待をよせる。スケジュールの順調な進捗を証明するためか、最初の45nm世代の製品となるPenrynファミリーのプロセッサから、デュアルコアの「Wolfdale」(開発コード名)、クアッドコアの「Yorkfield」(開発コード名)の動作サンプルを実際に用意し、CINEBENCH R10でベンチマークを行なうという実機デモを披露した。

リリースされたばかりのCINEBENCH R10でベンチマークデモを披露

Penryn最新情報のまとめ、Nehalemのヒント

続いて、インテル技術本部 技術部長の土岐英秋氏から45nm世代の製品についての詳細な解説が行なわれた。まずは同社の45nmプロセスルールに関して、トランジスタの集積度が2倍になるほか、High-K(高誘電)ゲート絶縁膜や金属ゲートといった最新技術の採用により、トランジスタ・スイッチング速度で20%の速度向上、トランジスタ・スイッチングで30%の電力削減が実現していると説明する。

インテル技術本部 技術部長の土岐英秋氏

さらに、その45nmプロセスルールに基づき製造されるPenrynファミリーのプロセッサについて、主な特徴がまとめられた。すでに何度か報じられているように、PenrynはCore マイクロアーキテクチャのシュリンク版とされるが、土岐氏によれば、単なるシュリンクではなく、多くの部分で拡張がなされているのだという。内容は以下の通り。

Wide Dynamic Execution : 4命令/1クロックは変わらない。除算器が高速化される。Penrynでは2進数で4bitの計算を処理する除算器回路(Radix-16 Divider)を搭載するが、Core 2 Duoでは2bitの除算器回路(Radix-4 Divider相当)を搭載していたという。また、Virtualization Technology(VT)も拡張版を搭載する。

Advanced Smart Cache : L2キャッシュが増量され、デュアルコアで最大6MB、クアッドコアで最大12MBのL2キャッシュを搭載できる。

Smart Memory Access : スプリット・ロード・キャッシュの効率が向上する。より高速なバス・スピードを実現する。

Advanced Digital Media Boost : SSE4命令が実装される。データの並び替えをハードウェアで処理するというスーパー・シャッフル・エンジンを新たに搭載、マルチメディア系の処理が向上するという。

Intelligent Power Capability : L2キャッシュの電力もカットするという深いステートを持つ「Deep Power Down Technology」を実装。逆に、余裕のあるときは「Dynamic Acceleration Technology」によりクロックを上げることもできる。

左のスライドは同社のプロセッサ生産を支える3つのポイント。「プロセス技術」と「マイクロプロセッサーの設計」を交互に進化させることをTick-Tockモデルと呼んでいる

土岐氏はまた、Nehalemに関しても言及している。「シュリンク→新アーキテクチャの投入」をおよそ2年ごとに繰り返す、"Tick-Tockモデル"と呼ばれる同社のアプローチに沿い、Nehalemでは新しいアーキテクチャが採用される。同アーキテクチャの初期製品は2008年に生産されるとされ、まだ公開できない情報が多くあるとのことだが、同氏が「Nehalemのヒント」として紹介してくれた主な情報は以下の通り。

  • Core マイクロアーキテクチャと同様に4命令発行
  • コア/スレッド/キャッシュを動的に管理
  • SMT(Simultane ous Multi-Threading)
  • 複数レベルの共有キャッシュ
  • 最適化されたダイナミック・パワー管理
  • クライアント向けに高性能グラフィックスを内蔵(オプション)

Nehalemのヒントとして示されたスライド。詳細は秋のIDFで語られるとのこと

ヤクルト球団協賛、神宮球場で野球とPCの教室を開催

マーケティング本部長の江田麻季子氏からは、小学生を対象とした野球およびPC教室「神宮キッズ・キャンプ」の内容が紹介された。なお、参加申し込みはすでに終了しているのでご注意いただきたい。また、環境負荷に配慮したグリーン電力を利用して開催されるプロ野球公式戦でのイベントも告知。こちらは始球式にインテル吉田氏が登場する予定。

最新の取り組みを紹介するマーケティング本部長 江田麻季子氏

9月11日の東京ヤクルト対読売ジャイアンツの公式戦では吉田社長がマウンドに