携帯電話最大手のフィンランドNokiaは8日(現地時間)、自社携帯電話で利用するチップセットに関する新戦略を発表した。社内開発作業の一部を打ち切り、商用チップセットの利用を拡大する。これにより、コアとなる最新のモデム技術開発にフォーカスし、開発した技術を半導体メーカーにライセンスする。

新戦略では、ライセンスとマルチソーシングモデルをとる。半導体メーカーからチップセットの供給を受けることで、外部の技術イノベーションを利用し、自社の幅広い製品ラインナップを支えていく方針だ。これにより、コスト削減、コアとなる半導体技術の研究・開発へのフォーカスなどのメリットを得られるとしている。

この戦略の下、同社は、米Texas Instruments(TI)、米Broadcom、独Infineon Technologies、スイスSTMicroelectronicsの4社をチップセットサプライヤとする。TIは全体のプロトコルを、BroadcomはEDGE、InfineonはGSM、STMicroは3Gチップセットを提供する。

中でもSTMicroとは同日、IC設計、3G向けモデム技術など、3G関連で広範な提携を結んだことを発表している。提携の下、Nokiaは3Gチップ事業の一部をSTMicroに移管、自社従業員約200人をSTMicroに移籍させる。STMicroはこれにより、Nokiaのモデム、電源管理、無線技術など3G関連技術をライセンス取得し、3Gチップを設計・開発する。STMicroは開発した半導体技術をNokia以外のメーカーに提供することもできる。2社はこのほかにも、NokiaのIC事業をSTMicroに移管する計画も検討しているという。WCDMA/HSPA関連のチップ技術は、Nokiaのほか、スウェーデンEricsson、米Qualcommなどが開発・所有している。

Nokiaでは、今後も最新の技術開発は継続する。この中には、プロトコルソフトウェア、WCDMA/GSMおよびその進化技術向け関連デジタル設計などのモデム技術が含まれる。Nokiaは開発したモデム技術を自社チップサプライヤにライセンス供与する。これにより、研究開発のコスト効果を改善するほか、チップセット業界の競争奨励にもつながるとしている。

Nokiaの技術プラットフォーム事業で上級副社長を務めるNiklas Savander氏は、「これは、複雑な技術環境における現実的な動きだ」とコメントしている。