NHKにて2008年1月に放送がスタートする大河ドラマ『篤姫』の出演者発表会見が、都内の同局で行われた。既に発表されていた主演の宮崎あおいほか、今回発表された瑛太、小澤征悦、原田泰造ら18名の役者たちが一同に顔を揃えた。

『篤姫』は江戸時代末期、薩摩藩島津家の分家に生まれながら、江戸幕府第13代将軍・徳川家定の正室となった篤姫の一生を描く物語。将軍の後継ぎをめぐる幕府内の抗争や、反幕府運動の激化の最中、大奥を預かる総帥として、嫁ぎ先の徳川宗家のために、日本のために力を尽くした篤姫を、大河ドラマ史上最年少の主役となる宮崎あおいが演じる。原作は宮尾登美子、脚本は田渕久美子が手がけ、幕府の中枢にいた女性の視点から幕末をひも解いていく。

「ドラマの舞台になることで、鹿児島の町が元気になって、行きたいと思う人が増えてほしい」と宮崎。今月から鹿児島でのロケに臨む

満面の笑みを見せる宮崎と瑛太

6月に入籍した後、初めて公の場に出席した宮崎は「茶道や日舞の稽古で充実した毎日です。いよいよ始まるんだと、緊張しています」とコメント。左手の薬指には指輪が光り、公私ともに順調であることを窺わせた。

今回発表されたキャストと役柄は、以下の通り。


○青春の仲間たち

肝付尚五郎(小松帯刀) > 瑛太

篤姫の幼なじみで、篤姫に恋心を寄せる。若くして薩摩藩家老となり、薩摩藩を明治維新のリーダーに押し上げることに大いに活躍するが、それは同時に篤姫に刃を向けることに……。
「ドラマなどであまり描かれていない人物ですが、活躍したと聞いています。僕の父も鹿児島出身なので、これも何かの縁。最後まで責任を持って演じたいです」(瑛太)




西郷吉之助(隆盛) > 小澤征悦

明治維新最大の功労者の一人。薩摩藩の下級武士だったが、島津斉彬に見出され、篤姫と将軍・家定との婚儀をまとめるために奔走。江戸城攻撃の際は官軍の代表となり、篤姫と対峙する。
「西郷隆盛を演じるのは、誇りというよりプレッシャーですね。2008年度大河ドラマの西郷は小澤で良かったと言われるように頑張りたい」(小澤)




大久保正助(利通) > 原田泰造

薩摩藩の下級武士だったが、島津久光に見出され、明治維新を成し遂げるために大活躍する。篤姫とは、尚五郎、西郷とともに青春を過ごした友人として、深い絆で結ばれることになる。
「大久保利通を演じると思って生きてこなかったので(笑)、今猛勉強中です!」(原田)




○篤姫の生家、今和泉島津家の人々

島津忠剛 > 長塚京三

篤姫の実父。島津御一門四家の一つである今和泉島津家の当主。病弱で気も弱いが、領民のことを誰よりも考える。元気で明るい篤姫をかわいがる心優しい性格の持ち主。
「幕末の前夜に、ほのぼのとした小さな幸せを願う小市民のような役を演じられて嬉しいです」(長塚)






お幸 > 樋口可南子

篤姫の生母。薩摩の女として、武家の女としての生き方を篤姫に教える。病弱な夫・忠剛に代わり、今和泉家を取り仕切る。
「篤姫を養女に出すシーンは、台本を読んでいて思わず涙してしまうシーン。丁寧に演じたいです」(樋口)






島津忠敬 > 岡田義徳

篤姫の兄。二人の兄が若くして病死したため、今和泉島津家12代当主となり、薩英戦争でも活躍する。後に、父・忠剛を窮地に陥れることになる西郷には激しい恨みを抱くことになる。
「篤姫にとってよき兄であるように演じられれば」(岡田)






菊本 > 佐々木すみ江

今和泉家時代の篤姫を世話した養育係。篤姫が当主・斉彬の養女となることが決まったとき、高貴な生まれではない自分の存在が、篤姫に迷惑がかかることを心配し、自害する。
「菊本は志がとても高い人。中身濃く演じることが目標です」(佐々木)






○京都・近衛家

近衛忠煕 > 春風亭小朝

五摂家筆頭、近衛家当主。近衛家と島津家は関係が深く、忠煕の正室が斉彬の姉ということもあり、斉彬とは親しい間柄だった。その縁から、篤姫を自分の養女として迎えることに。
「宮尾さんによれば、唯一ふざけて良い役との事なので、思いっきりふざけていきます (笑)」(春風亭小朝)




○薩摩の人々

小松清猷(きよみち) > 沢村一樹
薩摩藩名門の出身。篤姫や尚五郎、忠敬らに学問を教える。斉彬に抜擢され、異例の昇進を遂げるが、海防のために向かった琉球で病死する。
「皆さんに、当時は若い人たちが日本を引っ張っていったということを伝えられれば」(沢村)



お近 > ともさかりえ
清猷の妹。香道を通じて篤姫と仲良くなり、なんでも相談し合える仲に。兄が亡くなった後に、尚五郎を婿に迎えて結婚。小松の家を守ることになる。
「お近は興味深い人生を歩む女性。大切に演じたいです」(ともさか)






肝付兼善 > 榎木孝明
薩摩藩の名門・肝付家の当主で、尚五郎の実父。篤姫の父・忠剛と親交が厚かった。清猷の願いを受け入れ、三男の尚五郎を養子に送り出した後も、尚五郎をおおらかに見守る。
「NHKでしかできない作品。ドラマの厚みが増すように、一翼を担いたい」(榎木)





有馬新七 > 的場浩司
薩摩藩士。西郷や大久保と付き合いがあり、彼らの尊王思想に火を付けることに。久光上京の折に、過激な行動をしようと計画したが、同じ薩摩藩士に殺害される。
「どきどき、わくわくしてます! 」(的場)






大久保フク > 真野響子
正助の母。お家騒動に巻き込まれ、夫は遠島処分に、正助は謹慎処分となるが、気丈に大久保家を守り抜く。そのフクの力強い姿に篤姫は"薩摩おごじょ"の本質を学ぶ。



○鶴丸城の人々

島津久光 > 山口祐一郎
島津家29代当主・忠義の父で、斉彬は異母兄にあたる。斉彬の死後、兄の遺志を継ぐために、尚五郎や大久保らを積極的に登用し、明治維新の牽引役となった。
「また、素敵な思い出が増えるので嬉しいです」(山口)





島津斉興 > 長門裕之
島津家27代当主。家老の調所広郷とともに藩財政の建て直しに取り組む。が、三男の久光を溺愛したため、藩は斉彬派と久光派とに割れ、島津家最大のお家騒動に発展することになる。
「視聴者が一番興味を抱くドラマの2~3話に出させてもらえるのは光栄です」(長門)




お由羅 > 涼風真世
島津斉興の側室。実の息子である忠教(のちの久光)を次期当主にしたいと強く願い、斉彬に強烈なライバル心を抱く。その思いが、後にお家騒動(お由羅騒動ともいわれる)を引き起こすことに。
「悪女と言われていますが、愛情たっぷりな女を演じられれば」(涼風)



調所広郷 > 平幹二朗
島津家家老。膨大な借金に苦しんでいた薩摩藩の財政を建て直し、明治維新に薩摩藩が活動するための財政基盤を築く。反面、その強引な手法は藩士や領民の反感を招く。
「長門さんが機関車なら、私は貨物列車。後悔しないように全力投球します」(平)





島津斉彬 > 高橋英樹
島津家28代当主で、篤姫の養父。幕末の名君として名高かった。分家の娘にすぎなかった篤姫に天賦の才を見出し、13代将軍・家定の御台所(正室)として大奥に送り込むことを計画する。
「とにかく、すべての思いをこの『篤姫』にこめて取り組みたい」(高橋)