日産自動車は、高性能触媒技術を採用し、排出ガス規制「SULEVレベル」(Super Ultra Low Emission Vehicle:カリフォルニア州の極超低公害車規制。Tier2Bin2と同等)のクリーンディーゼル技術を発表した。また、新開発のクリーンディーゼルエンジンはSUV車の「エクストレイル(X-TRAIL)」に搭載し、2008年秋に国内市場に投入するという。
今回発表されたクリーンディーゼル技術は、NOxとPMを同時に低減し規制物質の発生をもとから抑える「燃焼技術(MK燃焼)」、HC・NOxトラップ触媒の「高性能触媒技術」、排出ガス中のO2濃度を高精度で制御し、良燃費とクリーンな排出ガスを両立する「高度エンジン制御技術」の3つである。
日産のHC・NOxトラップ触媒技術の特長は、NOxをトラップして浄化する層にHCの吸着層を追加し、吸着したHCと微量のO2を利用してNOx還元効率の高いH2やCOを生成して高効率なNOx浄化を実現すること。日産はすでに北米排出ガス規制の「Tier2Bin5」をクリアする技術を公開しているが、このHC・NOxトラップ触媒技術により、さらに厳しいカリフォルニア州の排出ガス規制SULEVレベル(Tier2Bin5に対し、HC:約90%減、NOx:約70%減)の排出ガス性能が可能だという。
クリーンディーゼル車の投入は、CO2排出量の削減を中心とした日産の中期環境行動計画「ニッサン・グリーン・プログラム2010」の一環として行なわれるもの。すでに日産は将来の排出ガス規制をクリアするクリーンディーゼル車を2010年度より拡大投入する計画を発表している。
同時に発表されたエクストレイルへのディーゼルエンジン搭載は、同計画の第一弾と考えられる。このクリーンディーゼル車はルノーと共同で開発したM9Rエンジンをベースに、高性能触媒技術、高度エンジン制御技術などを盛り込んだもので、国内における新しい排出ガス規制レベルを目指して開発を進めていという。同エンジンの性能など、具体的な諸元についてはまだ発表されていない。