マカフィー マーケティング本部 プロダクトマーケティング部 プロダクトマーケティングスペシャリスト 吉沢健哉氏

セキュリティソリューションにはいくつかの実装手法があるが、代表的なのは汎用サーバ上のソフトウェアとして実装するやり方と、アプライアンス化された専用ハードウェアを用意するやり方の2通りだろう。アプライアンスには設置や運用にかかる手間が削減できるなど、さまざまなメリットがあるのだが、一方でハードウェア/ソフトウェアの変化が激しい分野では陳腐化も早く、導入しにくいという問題もある。日本市場においてもまだソフトウェアソリューションが主流といえる状況だが、それでも最近はアプライアンスの販売数が急増しているという。

本稿では、先日セキュリティアプライアンスのローエンド向け新製品を発売したマカフィーのマーケティング本部 プロダクトマーケティング部プロダクトマーケティングスペシャリストの吉沢健哉氏に市場の現状について聞いた。

スパム急増の現状 - スパムを放置すればセクハラで訴えられることも!?

いわゆる「スパム」(迷惑メール)が問題になってずいぶん経つ。メールに添付されて送りつけられるウィルスに関しては、クライアント側でもISP側でも対策が行なわれることが普通になってきたためか、以前ほどは目にすることがなくなってきたような印象があるが、スパムは相変わらず猛威をふるっている状況だ。吉沢氏が示したデータによれば、全世界でのメール流量の9割はスパムであり、2006年には2005年比で147%の増加、データ量では300%増という。

昨今問題視されているのが「画像付きスパム」と呼ばれるタイプだ。これはHTMLメールの形で送付され、読ませたい内容を画像として表示させる。スパム・フィルタのユーザーも増えており、単純なテキストスパムではキーワード検出などの手法で排除されることが増えたため、対抗策として一般化したものだという。スパム・フィルタの側でもOCR(Optical Character Reader、光学式文字読取)技術を応用するなどして対応を進めているところだが、検出が難しくなっているのは事実だ。また、弊害として画像を使用することでメールのサイズが増大する結果になっている。典型的には、テキスト・スパムが数KB程度のデータ量なのに対し、画像付きスパムでは30 - 100KBに達することも珍しくないという。

スパムが増えたことによって企業が被る直接的な被害としては、従業員がそれぞれスパム対応に時間を取られることによる生産性の低下に加え、ITシステム、特にメールサーバやネットワーク帯域をスパムによって無駄に消費されてしまうことも大きい。場合によっては、ITインフラの増強を行っても、その結果得られたパフォーマンス向上分をそっくりスパム処理に喰われてしまうような例もあるという。これは、ITインフラのRoIが下がるという形で経営問題にも繋がってくる。

経営問題といえば、米国での事例だと思われるが、経営側が何の手も打たず従業員にスパムメールの駆除を強いるのは「環境型セクシャルハラスメント」に該当する、という指摘さえあるのだという。さすがに逆恨みのような気がしないでもないが、権利意識の強い米国でならありそうな話という気もする。いずれにしても、企業としてはスパムを放置しておくことはさまざまな形での損失に繋がるわけで、早急な対策が求められているのは間違いない。