大林宣彦監督作品『22才の別れ Lycoris 葉見ず花見ず物語』のプレミア試写会が都内で行われ、出演した筧利夫、清水美砂らが出席した。
フォークグループ「かぐや姫」、「風」で活躍し、『なごり雪』などの名曲を生んだシンガーソングライター・伊勢正三の『22才の別れ』をモチーフに描く同作。人生の岐路に立った主人公・川野俊郎(筧)が、花鈴という名の少女 (鈴木聖奈)と偶然出会うところから物語は始まる。その花鈴が昔別れた恋人・葉子(中村美玲)の娘だったという衝撃的な事実を知り、川野は、葉子と別れた22才の頃に思いを馳せ……。葉子と花鈴、母娘二代にわたる懐かしく切ない恋の物語だ。
舞台挨拶には、大林宣彦監督と伊勢正三も出席。冒頭で大林は、「映画らしい映画を作りたかった。この作品で、故郷を思う素直な心、故郷の良き時を思い出してほしい」と語る。撮影は、大分県大分市、津久見市、臼杵市などで行われ、大分の街並、自然が余すところなく映像で表現されているという。また、主演の筧については「彼は日本のハンフリー・ボガート。おとなしくなった時の魅力が素晴らしい」と絶賛。筧も照れながら「それこそ、血と汗を流して頑張りました(笑)。その結果がフィルムに焼きついていると思います!」と自信をみせた。
また、大林監督は今回、鈴木聖奈(新人)、中村美玲(新人)、寺尾由布樹という3人の若手を起用。「普通は役者のスケジュールを優先してロケをしますが、彼らは2カ月間ずっと現場にいました。それだけに地元への愛が画面に出ていると思います」と大林監督はコメント。彼らのフレッシュな演技も注目だ。
そして、大林監督は「大ヒットする映画は、まるでイベントみたい。私たちはそれを望んでいません。この作品は、役者、スタッフ、地元の方々のみんなが一生懸命"ライフ"した映画。正やん(伊勢)の純粋な歌とともに是非お楽しみいただきたい」と現在の邦画界への苦言を交えながらも、観客にPRした。
同作は、8月18日からテアトル新宿ほかにて全国ロードショー。
(C)DIAX,PSC,2006