マンション向けITサービスを提供する「つなぐネットコミュニケーションズ」はこのほど、インターホンを介した新築マンション向けの緊急地震速報サービス「SCOOP(スクープ)」を発表した。
緊急地震速報は、気象庁が発信する地震情報の1つで、10月1日から一般への提供が開始される。具体的には、過去に起きた地震の発生直後に震源に近い地震計でとらえた観測データを解析し、各地で起こる地震 (主要動)の到達時刻や震度を可能な限り迅速に知らせるというもの。ただし(1)緊急地震速報が発表されてから、強い揺れが来るまでの時間が数秒から数十秒と短い、(2)震源に近い所では、緊急地震速報が強い揺れの到達に間に合わない、(3)地震の規模や到達時間の予測にずれがある-といった技術的な限界もあると言われている。
SCOOPは、気象庁による緊急地震速報を光回線により受信、さらにマンションの各戸に設置されたインターホンを通じて伝達する。同社はインターホンによるメリットについて「緊急地震速報の受信端末としては、テレビやラジオ、インターネット、携帯電話などが想定されていますが、電源が入っていなかったり、音量を小さくしていると地震情報を受け取ることができない可能性があります。一方、インターホンであれば常時電源が入っており、音量が一定であるため、マンション内にいれば常に地震情報を受け取ることができます」と説明する。ただし、「受信端末の電源はAC電源であるため、停電時には対応できない場合もあります」(同社)とのことだ。
またSCOOPは、地震発生を知らせるにとどまらず、地震発生後までの一貫した地震対策を提供する点が特徴だ。インターホンで流れる音声は地震到達前・到達直後・到達1分後の行動指針を提供。たとえば、地震到達前(震度5以上、15秒後に到達の場合)であれば、警報音の後「ドアを開けて窓から離れて安全な場所で身を守ります」「すぐ地震がきます 落ち着いて!」、地震到達直後は「倒れてくるもの、落ちてくるものに注意して揺れがおさまるまで身を守ってください」、地震到達1分後は「足元の安全を確認してから動いて下さい。閉じ込め、火災、けががないか確認して次の揺れに備えます。津波や土砂災害の危険があるときはただちに避難行動をして下さい。支援が必要なときは隣近所に声をかけてください」などといった音声が流れる。なお、音声には震度5弱以上と震度3~5弱未満の2タイプを用意している。
また、SCOOPをマンションの共用部設備と連動させることで、エレベータを最寄の階に自動停止させるほか、自動ドアや通用口の強制開錠を実施し、マンション内で閉じ込められたり、避難が遅れるといった危険性を減らすという。さらに、震災に備えて地震発生前の心構えや地震発生時の対応などをまとめた防災マニュアルやDVDの配布、防災セミナーや防災訓練の実施等により、一貫した防災対策をマンション単位で講じることが可能としている。同サービス提供価格は、100戸のマンションの場合1戸あたりで月額840円となっている。