ワイヤレスジャパン2007で浜松ホトニクスは、最長2kmを1.25Gbpsのワイヤレスネットワークで結ぶ光無線システム「PHOTOLINER-G C10370」を展示・デモンストレーションした。今年秋以降に提供開始する。
主に離れた建物の間でLANを構築する用途に利用され、ギガビットイーサネットなどを光化して伝送する。同社の従来製品でギガビットの速度に対応したもの(PHOTOLINER-G C8570-02)は最長通信距離が最長1kmだったが、新製品ではこれを最長2kmとするとともに、同221×248×550mm・15kgだった装置本体を、155×164×435mm・約5.5kgへと大幅に小型軽量化した。
新製品で新たに投入されたのが、デジタルカメラの手ブレ補正機能に相当する自動追尾機構で、本体が風などで振動して光軸がずれても自動的に修正することができる(水平・垂直各方向1.2度以内)。これによって、より指向性の鋭い光でも安定した通信が可能になり、同時に集光レンズなどが小さくできるため、高性能化・小型軽量化を実現できたという。インタフェースとしては光ファイバーのほか、いわゆる一般的なLANケーブルであるUTPケーブルにも対応可能で、LANスイッチに接続するだけで使用可能となる。
光通信は電波を利用した無線ネットワークと比べ、一般的な事業所でも導入できるシステムとしては高速かつ長距離の通信が可能なほか、電波のように不特定方向に拡散しないためセキュリティも高いことが特徴。従来は道路を挟んだ複数のオフィスを結ぶといった使い方が中心だったが、1kmを超える距離でもより高速な通信が可能となってきたことで、地域の情報インフラといった用途での展開拡大が期待できる。
なお、天候の変化が通信品質に与える影響だが、雨が問題になることはあまりないという。むしろ厄介なのは霧で、装置の間をコロイド状の水が満たす形になるので、通信距離や速度の低下が起きやすいとしている。