紅茶ブランド「リプトン」を展開するユニリーバ・ジャパンは、東京・銀座の「リプトン・ブルックボンドハウス」にて、紅茶と英国菓子のセミナー「手作り英国菓子と紅茶のステキな時間」を開催した。講師はスコットランド在住料理研究家、アン・スカジェル氏。スカジェル氏は、イギリスはもちろんのことアメリカやイタリア、アジア圏でも活躍中の英国紅茶文化のコンサルタント。同セミナーでは、スコーンやショートブレッドといったイギリスならではの焼き菓子の作り方や、英国の紅茶文化に関する解説が行われた。
セミナーはスコーン、ショートブレッド、カップケーキの3種類のコースに分かれている。取材したのはショートブレッドの回。ショートブレッドとは、サクサクとした食感が特徴の焼き菓子で、スカジェル氏の住むスコットランドでは、もともと大晦日にスコッチウイスキーと一緒に楽しむ食べ物だったとのこと。現在では、ティーブレイクやアフタヌーンティーなど、日常的に登場するスコットランドを代表するお菓子となっている。
スカジェル氏オリジナルのショートブレッドレシピは最後に紹介するとして、ここからは、紅茶に関する話を進めていこう。
「イギリスの紅茶というと、真っ先にアフタヌーンティーを思い浮かべるのではないかしら。だから、優雅で高級なイメージを持っている方が多いかもしれないわね。でも実際は、イギリスで消費される紅茶のうち、93%がティーバッグなのよ」。イギリス人はお手軽なティーバッグはほとんど使わず、リーフティー(リーフをポットに入れて抽出した紅茶)がほとんどだろうと思っていたのは、きっと私だけではないはず。しかし紅茶が日常的な存在である国だからこそ、こういう結果になっているのかもしれない。
イギリス人の生活を見ていくと、1日に何度も紅茶が登場する。「まず朝は『アーリーモーニングティー』で始まります。これは旦那さんが奥さんのためにいれる紅茶。家事で忙しい奥さんを思いやって、旦那さんがベッドで寝ている奥さんのもとに紅茶を持っていってあげるのよ」とスカジェル氏。「でも旦那さんも忙しい日があるでしょう。私の主人も時々友人と外食などをして前の晩の帰宅が遅かった時は、アーリーモーニングティーが用意できないの。でも、そういうときは『ごめんね』って連絡を入れてくれるのよ。このお茶は、夫婦が仲良くやっていくためにはなくてはならない存在だと思うわ」。……私たち日本に住む女性にとっては、夢のまた夢のような話。日本の男性諸君には、ぜひとも英国紳士を見習ってもらいたいものだ。
その後、朝食時やランチ前の休憩時、昼食の際にも紅茶を飲むというイギリス人。もちろんことながらアフタヌーンティーでも紅茶、そして夕食後にも紅茶、といった具合。いかにイギリス人の生活に紅茶が密着しているかというのがわかる。