ユニークなアイデアで認知を狙う:日産
SLはバーチャルワールドなので、リアル世界では決してできないことを実現できるというのが大きなメリットの1つです。あまりに非現実的すぎると良くないと思いますが、アイデア次第で面白いものを作れればユーザーに対して大きなインパクトを与えられます。自動車の製造・販売を手がける日産はこの点でもっとも有名な企業です。
日産(正確にはアメリカのNissan)はSIM内に自社の車である「Sentra」の自動販売機を作りました。ジュースを売っているような小さいものではなく、実物大の車をずらっと並べた数十メートルの高さのある巨大なものです。ユーザーはこの自動販売機からSentra車を入手することができます。もちろんSL内のアイテムですが、無料で、実物大で実際に乗って運転もできるものです。自動販売機のすぐ近くには自由に利用できるテストコースが用意されています。自動車を入手したユーザーはここですぐに試乗を楽しむことができるのです。2007年7月現在、この自動販売機を通じて約33,000台の車がSL内で売れたようです。 自動販売機で売っているのは全てSentraですが、カラーバリエーションは多数用意されているため、この中からユーザーがどれを選んだかを分析することでマーケティングリサーチにも役立っていると考えられます。
日産に関しては、「自動販売機で車が無料で買えてしまう」というとてもユニークなアイデアが多くの人にインパクトを与えたことが特徴でしょう。実際、SLの企業進出事例が紹介されるとき、「分かりやすく、面白い」事例として日産がそこに入っている割合は非常に高く、パブリシティ効果としては十分な成果をあげたと考えられます。
日産は他にも「Altima」をプロモーションするSIMを作っています。SL内のAltimaはなんと宙に浮いて走行するモードへと切り替えることができ、すぐそばにある空中テストコースではSentraに乗ってタイムアタックに挑戦できます。Altimaの実車のほかには、ユーザーが身に着けるヘッドアップディスプレイや、車を動かすスクリプト、蜂型のペットなどが入手できます。