エンタープライズ業界にある程度かかわってきた者なら、「ミコ・マツムラ - Miko Matsumura」という名前を聞けば反射的に「Javaエバンジェリスト」の肩書きを思い浮かべるだろう。かつてSun MicrosystemsでJavaの普及に大きく貢献した同氏は現在、webMethodsのSOAプロダクトマーケティング上級副社長として、またOASISのSOA Adoption Technical Committee議長として、SOA普及の最前線で活躍中だ。11日、プレス関係者を集めて行われた説明会でマツムラ氏は、さまざまなWebサービステクノロジが乱立する今こそ「ガバナンスが重要」とし、SOAによる相互運用のメリットについて解説した。
Infravio→webMethods→Softwara AG
Sun Microsystems時代からさまざまな肩書きをもつマツムラ氏だが、テクノロジアドバイザーとして、またビジネスパーソンとしての卓越した才能を求める企業/団体は、今も後を絶たない。Javaに限らずITの「エバンジェリスト」という呼称が彼ほどふさわしい人物はそういないだろう。
マツムラ氏はSun Microsystemsから離れた後、1999年に創業したシリコンバレーの小さな企業Infravioでマーケティング&技術標準担当副社長を務めていた。同社はSOA/Webサービス管理テクノロジで瞬く間に知られるようになり、とくにガバナンスツール「X-Registry」は市場で高い評価を得る。2006年、InfravioはシステムインテグレーションツールベンダのwebMethodsに3,800万ドルで買収され、マツムラ氏もそれに伴いwebMethodsに移ることになる。そして今年2007年4月、webMethodsは「欧州最大のソフトウェア会社」「世界第2位のインテグレーションベンダ」であるドイツのSoftware AGに5億4,600万ドルで買収された。その規模のわりに米国ではあまり知名度のなかったSoftware AGだが、マツムラ氏も同社による買収を聞いたときは「かなり驚いた」と言う。
X-RegistryなどInfravio時代からのSOAアーキテクチャはそのままwebMethods/Software AGに引き継がれており、マツムラ氏は現在もそれらの製品マーケティングの指揮を執っている。