マイクロソフトは11日、病院内の医療ソリューションの標準化を目指す「Connected Health Platform構想(以下、CHP)」を発表した。患者や医療現場の視点に立った院内システムの実現に向け、統一された使いやすいユーザインタフェースを提供するとともに、CHPの具現化に向けた取り組みの第一弾として、医療関係者らで構成する「医療情報化IT推進協議会(以下、CHART)」を設立。現場の医療従事者のニーズに対応した情報提供などを行っていくとしている。

マイクロソフト執行役常務 公共インダストリー統括本部長 大井川和彦氏

11日から13日まで開催されている「国際モダンホスピタルショウ2007」に出展しているマイクロソフトのブース

CHPは、患者や医療関係者の立場に立ったIT環境を提供する仕組みで、既にドイツやアメリカなどでの導入事例がある。同社は、医療の現場でのIT活用はまだ十分ではない現状や、複数の業務システムを横断管理する電子カルテがないといった院内医療の課題を踏まえ、患者や医療現場の視点に立った院内システムの実現に向けてCHPの提供に踏み切った。

同システムの導入のメリットについて、マイクロソフト執行役常務 公共インダストリー統括本部長 大井川和彦氏は「5年などといった期間で見れば、総合的な費用が5割削減できた事例もあります。今後は、医療系ソリューションを提供するITベンダーと協力を拡大するなどして、患者や医療現場のニーズに合った使いやすいシステムを提供していきたい」と話した。

事務局運営をするメディヴァの代表取締役 大石佳能子氏

国立成育医療センター 医療情報室長:山野辺裕二先生(座長)

CHPを導入第一号は、熊本市内にある済生会熊本病院で、年内にも実証実験を行うとしている。また、CHARTは今後1年以内にCHPに関するハンドブックを作成するほか、院内医療における課題について解決策を提唱する予定。さらに、医療現場におけるIT利活用の啓発活動「IT体験プログラム」も全国規模で順次展開していくという。