携帯電話の機能やサービスの中で、もっとも人気の高いものと、満足度の高いものは異なる――そんな結果が韓国の携帯電話調査会社Marketing Insightから発表された。
支持率高いゲーム、人気急上昇のDMB
Marketing Insightの「移動通信企画調査」は、毎年6カ月ごとに実施されている。2007年上半期は3~4月に、全国の14歳以上10万752人を対象に行われた。
これによると、携帯電話の通話以外のサービスでもっともよく利用するのは、ダウンロードゲームであることが明らかになった。利用率は全体平均で30.7%、携帯電話事業者別では、SK Telecom(以下、SKT)がもっとも多い33.8%となっている。携帯市場の占有率が約50%のSKTのみが提供するゲームや、SKTが市場でもっとも早く新作ゲームを提供するケースが多いことに由来すると考えられる。
一方、2006年下半期と比べた増加率を見ると、最も利用が伸びたのはDMBサービスだった。ここで言うDMBとは、「衛星DMB」(日本で言うモバイル放送)と、「地上波DMB」(日本で言うワンセグ放送)の2種類を合わせた数値である。
前者は開始から2年程度、後者は1年半程度が経過したばかりだが、今韓国では人気サービスの1つとなっており、電車やバス内で携帯電話の画面をのぞきこみ、DMB放送を楽しむユーザーの姿が頻繁に見られる。とくに無料視聴できる地上波DMBは、まだ全国サービスをしていないにも関わらず、2007年6月に視聴者が500万人を突破するなど急速に視聴者数を伸ばしている。利用率は今後も伸びていきそうだ。
地味でも満足度高いモバイルバンキング
利用率ではゲームがトップだったが、かといって満足率もトップかというと、そうではない。
満足率で1位となったのは、モバイルバンキング(64.9%)だ。ダウンロードゲームは41.6%で2位、DMBは29.6%で3位となっている。ただし2006年下半期と比べると、8.4%増加した2、3位の方が大きく満足率を増やしていることが分かる。
市場で人気のサービスであるだけに、目に見えるほど盛んなゲームやDMBが、ユーザーにとってはより大きな満足を感じさせるのかもしれない。
一方のモバイルバンキングは、2006年下半期から満足率がほとんど変わっていない。利用率が低くても、一度使えば高い満足を与える――そんなサービスの利用機会を増やせるような施策が、携帯電話事業者には必要なようだ。
逆に満足率を6.4%落としているのが交通情報。交通情報は利用率でも大変低い。携帯電話事業者は、携帯電話をナビゲーションのように利用できる交通情報サービスをそれぞれ提供しているが、今回の結果を見るとあまり使われてもおらず、満足度も低いことが明らかになっている。
その理由の1つとして挙げられるのがDMBの流行だ。というのは、車内でもテレビを見られるように、車載用のDMB機能付きナビゲーション端末が人気を得ているからだ。確かに画面が大きくて多機能なナビゲーション端末の方が、携帯電話よりは便利に利用できるかもしれない。携帯電話事業者はこうした端末に対抗できるよう、サービス内容をより強化する必要がありそうだ。
今回の調査では、比較的新しいサービスであるDMBの飛躍が目立った。地上波DMBは2007年に全国サービスを開始する予定であり、それに伴って利用率はさらに増えることが予想される。
一方、満足率は高くとも利用率は低いモバイルバンキングや、満足率・利用率ともに低い交通情報には課題が残った。これらの課題をクリアすることが、全体的なサービスの質の底上げにつながることとなりそうだ。