NTTドコモが4日発表した「FOMA 704iシリーズ」は、ユーザーのライフスタイルにあった携帯電話を提供する、というドコモのコンセプトを体現するシリーズだ。8モデルが今月から登場するが、「ターゲットユーザーに合わせたケータイを提供する」ことを目指している。
もともと70xシリーズは、フラッグシップの90xシリーズと比べて機能を制限し、低価格、コンパクト、スリムであることが特徴だが、永田氏によれば「(今年初め発表の)703iより前は90xシリーズのサブセット」であり、単に最新機能を詰め込んだ「90xシリーズの廉価版」といったイメージだった。
しかし、703iシリーズでスーパースリム、コンパクト、防水、アロマといった「90xシリーズで挑戦できていないもの(機能)を取り込み、ジャンルの違った位置づけ」(永田氏)を作り上げたという。
永田氏も700iシリーズ発表当初から「70xシリーズは単なる廉価版ではない」と繰り返していており、「ユーザーのライフスタイルにあった携帯電話」を狙っていたが、「正直言って手探りでやってきた」(永田氏)。
こうして、「必要十分な機能を入れてデザインで工夫」(同)していた702iシリーズまでに対し、90xシリーズにはないスペックを取り入れた703iシリーズ以降、70xシリーズは売り上げを伸ばし、FOMA全契約数3,712万契約中、1,429万台(2007年5月末時点)を売り上げ、FOMA契約数の伸びを703iシリーズが牽引している、という。
704iシリーズでは、703iシリーズで好評だった部分を継続。90xシリーズの機能から「ユーザーの欲しい機能」とドコモが考える機能をセレクトして704iシリーズに搭載。スリムでコンパクトなボディも維持し、ターゲットユーザーに適した携帯電話を目指した。
703iシリーズでは「μシリーズ」で独特のデザインを導入したり、防水機能を搭載したりするなど「技術的に挑戦した」(同)が、今回の704iシリーズではそうしたデザイン、技術的な挑戦は、「仕込みに1年ぐらいの時間が必要」(同)ということで、基本的には703iシリーズを踏襲した。
そうした中、704iシリーズで初めて搭載されたのがワンセグチューナーとHSDPA(FOMAハイスピード)の対応だ。ワンセグを搭載しつつ、これまでのドコモのワンセグケータイの中でもコンパクト化を図っている。もっとも、小型軽量をうたう70xシリーズであるため、端末メーカーはコンパクト化とバッテリの持続時間の確保で苦労したようだ。
ワンセグを搭載したD704iとSH704iは、ともに若い女性をメインターゲットとしている。ワンセグは、これまで高機能な90xシリーズにしかが搭載されていなかったため、どちらかというと男性の比率が高かったが、704iシリーズにワンセグを投入することで、女性にもユーザー層を拡大することを狙う。「ワンセグがカメラと同様に当たり前の機能になると考えている。ワンセグが高機能と考えていた人に手軽に楽しんでもらえれば」とD704iを開発した三菱電機の担当者は語っている。
70xシリーズで初めて端末を開発したLG電子は、欧州を中心に人気の「チョコレート」シリーズのデザインをベースとした「L704i」を提供。W-CDMAの高速化規格であるHSDPA(サービス名「FOMAハイスピード」)に対応、下り通信速度最大3.6Mbpsを実現し、iモードサイトやフルブラウザでの閲覧スピードが格段に向上する。
FOMAハイスピード対応のため、高音質・長時間番組配信する「ミュージックチャネル」もサポート。手軽な70xシリーズでもドコモの最新機能を楽しむことができるようになっている。
また、F704i、N704iμ、P704iμの3モデルではW-CDMAでの国際ローミングに対応。W-CDMAを利用している海外の地域では、端末をそのまま使って通話が可能になる。さらにL704iはW-CDMAに加えてGSMの国際ローミングが可能なので、より広い海外エリアで端末をそのまま使うことができる。これまではデザインに優れた70xシリーズを海外には持って行けなかったため、お気に入りの携帯電話を海外でも使いたいというユーザーに訴求する。
コンパクト、スリムを維持しながら順調に機能強化している704iシリーズだが、GPSは搭載していない。今年4月からは携帯電話からの緊急通報で現在位置を通知するため、総務省がGPSの搭載を促しているところだが、永田氏は70xシリーズのコンパクトさを実現するためにGPS機能が搭載できなかったと話し、今後開発を進めて、コンパクトさを維持しながらGPS機能を搭載していきたい考えを示した。