α版は「ソーシャル化」「オープン化」

では、リニューアル後のトップページについて、α版を元にレイアウトと機能を解説していきたい。

検索窓

まず検索窓だが、検索関連の面積は現行比で140%拡大される。基本的なレイアウトは現行のままだが、α版ではキーワード入力欄の下部に「検索急上昇ワード」が表示されている。

新たに「検索急上昇ワード」を設置

検索急上昇ワードを正式版に含めるかどうかは、β版リリース後の反応をみて検討していくという。

コンテントボックス

左ペインに「Yahoo!のサービス」として縦に表示されるのが「コンテントボックス」。これはトップページに掲載するサービスを制限することで、「探しやすさ」を向上させるための試みだ。α版ではサービスを選んで表示しているが、β版ではユーザ自身が何を表示させるか編集できるようにしたい意向で、トップページに常設されていないサービスでも選択・表示できるようにする予定。

西田氏は、あくまでも将来的な構想であると前置きした上で、「CGM系サービスの右隣に、メッセージアイコンを表示する」といったカスタマイズ法も考えているようだ。掲示板、ブログ、メールなどの情報に、それぞれ投稿、トラックバック、メッセージといったアイコンを表示するサービスだ。

トピックス

ニュース記事へのリンクが提供される「トピックス枠」も、掲出位置が変更される。また、興味のあるジャンルのニュースを枠内に設置できるようにもする予定だ。

「他から選ぶ」がカスタマイズ枠。選択ジャンルの情報がCookieに保存される

スポットライト

トピックスの直下に設けられるスポットライトは、時節や流行に合わせたコンテンツを1つのテーマに絞って紹介する枠。ユーザの生活時間帯に合わせ、出社直後、昼、夕方、深夜など、日に3回ほど更新され、それぞれの時間帯に見合ったコンテンツが提供される。また、気象情報や緊急の出来事をすぐにテーマとして扱うという、即時性もあわせもつ。

この枠で紹介されるコンテンツと、そこから発生するトラフィックは、Yahoo!JAPAN内にとどめるのではなく、直接ネットワークパートナーのサイトへ遷移させることも検討しているという。

みんなでつくるYahoo!JAPAN

「みんなでつくるYahoo!JAPAN」は、CGMサービスを表示する枠。ヤフーの編集者の手を介して、様々なコンテンツをピックアップ、表示していく。

具体的には、Yahoo!ビデオキャストで人気の動画や、話題の映画などを、CGMという切り口で提供する。

みんなでつくるYahoo!JAPANではCGMサービスのコンテンツを表示

パーソナルボックス

右ペインレクタングル下に表示されるのが「パーソナルボックス」。その名の通りログインユーザ向けの機能で、メールの新着件数、ブックマーク、メモ帳、ブリーフケース、予定の件数などが表示される。

ユニークなのは「ログイン履歴の表示」。ここはYahoo!JAPANトップページの、しかもアクセス直後の画面に表示される位置だ。広い層が利用するだけあって、ログインサービスもネットカフェや漫画喫茶など、様々なところからアクセスするユーザが多いのだろう。IDの不正利用に気づきやすくするための配慮が伺える。

前回のログインも表示される

地域枠

右ペイン下に表示される「○○の地域情報」が地域枠。表示情報を選択することも可能となる。将来的には地図表示にも対応させたい考えだ。

地図表示は切り替え式になるだろう

広告

現行のトップページは横740ピクセル、リニューアル後は950ピクセルとなる予定で、広告領域が拡大することになる。枠の大きさは現在、調整中だという。

また、パートナーカンファレンスで紹介されたネットワークパートナー枠だが、α版ではまだ提供されていない。この枠から直接、パートナーサイトへ誘導することも検討されている。

ところで、同社はパートナーカンファレンスで、朝日新聞(asahi.com)と共同でバナー広告を販売することを明らかにしている。Yahoo!JAPANの高校野球特集に表示されるバナー広告と、asahi.comの特集に表示されるバナー広告を共通のものにし、共同で販売しようという試みだ。他のメディアネットワークサイトがヤフーと共同で販売する例は珍しくないが、asahi.comがこうした取り組みをすることは稀なため、大きな話題となった。

西田氏はネットワークパートナー枠の一例として、「高校野球枠を設けて、asahi.comに直接飛ばす」と語っていたが、これは、この枠を通じて、パートナーと共同で利益を上げていきたいという同社の姿勢の表れだろう。

三つの戦略の一つが足りない

α版を通じて、同社の全社戦略である「ソーシャル化」と「オープン化」は見えてきた。しかし、どこからでもYahoo!JAPANにアクセスできるという施策「エブリウェア化」は見えてこない。こちらの取り組みはどのようになっているのだろうか。