建築家アルヴァ・アアルトのデザインで知られるフィンランドのartek(アルテック)は、このほどヤマギワリビナ本館にて、アルテック内覧会を開催。内覧会では、竹の集成材を使った家具「BAMBU」シリーズを発表した。

美しいフォルムとテクスチャーを兼ね備えた「BAMBU」のテーブルとチェア

アルテックはアアルトの曲げ木によるスツールで有名だが、このほど発表した「BAMBU」シリーズは、この曲げ木の技法を取り入れた、アルテックならではの製品である。スツールに使用されているバーチ材(カバ材)と同じ工程で、竹を加工し作成している。竹の曲げ木の技術開発には3年を要したという。竹材は繊維が真直ぐな形状をしているので、加工しやすく、仕上がりにもムラがなく、滑らかな表面が特長となる。今回、販売しているのはテーブルとチェアの2アイテム。曲げ木の技法を用いているが、バーチ材とはまた違った上品な雰囲気を醸し出していた。

アルテックのクリエイティブ・ディレクターであるトム・ディクソン氏は、「竹は奇跡の素材。使い方しだいでは鉄よりも強度があり、ハードウッド素材よりも軽い」と竹を使用する理由を語った。手工芸的なデザインは避け、モダンな仕上がりを目指したという。価格はテーブルが241,500円、チェアが63,000円(両品とも受注品)。ヤマギワリビナ本館で取り扱っている。

竹の角材を組み合わせて使用している。こうすることで、表面が滑らかで節が出ないという

アルテックのクリエイティブ・ディレクターであるトム・ディクソン氏

同社が製品に竹を使うのは初めての試み。これについては、竹が生育の早い植物であることから、今回材料として取り上げたという。このように環境に優しい素材を使い、材料を無駄にしない効率的なもの作りを実現し、長く使える強度を確保するというのは、同社の目指す「サスティナビリティ」(持続可能性)を具現化していると言えよう。同社は今年の4月に開催されたミラノサローネ国際家具見本市でも、「サスティナビリティ」をテーマに新作の展示を行い、人間と地球の永続的な共存を訴えている。

ミラノサローネ国際家具見本市に出展されたパビリオン。エコロジーの概念を建築に取り入れている坂茂氏(建築家)がデザインした

パビリオンに使用された建材は、リサイクルされた紙とプラスチックからできた混合素材。この素材は、製紙・製材企業のUPMが開発したものとされている