グリーン技術に投資

Googleは次の3つの対策により、二酸化炭素の排出量が実質ゼロの"カーボンニュートラル"を目指す――(1)エネルギー効率の最大化による消費電力の削減、(2)再利用可能なエネルギーへの投資・利用、(3)カーボンオフセット、だ。

(3)のカーボンオフセットについては、募金ではなく、プロジェクトに投資するかたちをとる。ここでは、投資が本当に意味をなすものとなるよう、環境に一貫したメリットを提供するプロジェクトか、放出量削減は追加的なものか、モニタリングなどにより評価できるか、などの基準を設けて選択していくという。

同社は6月18日、慈善団体のGoogle.orgによるプラグイン・ハイブリッド車への投資を発表している。これは自宅でリチャージできるハイブリッドエンジンを利用したもので、Google自身は自社のソーラーシステムから電気をチャージする予定だ。このプラグイン・ハイブリッド車は最初の投資となり、今後もグリーン技術の商用化を促進する投資を行っていくという。

業界全体の取り組み

Holzle氏はまた、Googleが参加している業界全体の取り組みも紹介した。

Googleは6月12日、米IntelとともにPCのエネルギー効率を向上する業界イニシアティブのClimate Savers Computing Initiativeを発足させた。これについて、Holzle氏は、「エネルギー消費量の低いPCの製造・販売の奨励により大きなインパクトを与える」と語る。

ICT業界が放出する二酸化炭素は全体の約2%。そのほとんどがコンピュータからだ。台数から見るとPCが圧倒的多数を占め、世界に約10億台のPCがあるといわれている(サーバは約2,700万台)。「今日、デスクトップPCは約半分の電力を、サーバーは3分の1を無駄に費やしており、デスクトップPCの90%は電源管理機能を利用していない」とHolzle氏は語る。

電源、電圧調整で電力が放出された結果、PCは消費電力の半分を浪費している

Climate Savers Computing Initiativeでは、電源管理技術の利用を増やし、PCのエネルギー効率を2倍にすることを目標にしている。電力効率に関して一定の基準を定め、この基準を満たした製品を認定する。これにより、年間5,400万トンの温室効果ガスを削減する見通しだ。「みんなが効率のよいPCを購入するようになれば、大きな影響を与えられる」(Holzle氏)。

実際、これは「解決可能」とHolzle氏は言う。Googleのサーバ電力効率は2003年以来、90%以上改善した。価格が高めでも省電力に優れたサーバ購入を心がけており、電力の支出が削減されるので最終的には価格差は相殺される、とHolzle氏は言う。

このほか、政策面、啓発でも参画していく。それにあたって、Googleのツールを積極的に利用する。たとえば、Google Earthを使って環境問題の深刻さを示すなどのことを考えているという。

Holzle氏は最後に、「環境という大きな問題に対しポジティブな影響を与えたい」とGoogleの思いを語った。

Urs Holzle氏