イー・モバイルは21日、モバイル事業についての説明会を開催し、WiMAXについての取り組みや、都心部と郊外での実証実験の進捗状況を説明した。無線ブロードバンド事業の免許取得に向け、総務省の免許方針案について、インターネットのオープン性を重視するとした同省の考え方を評価し、免許条件にしたがって免許取得に向けていっそう強く取り組んでいくことを明らかにした。
免許方針案では、2.5GHz帯広帯域移動無線アクセスの免許付与要件として、第3世代移動体通信事業者でないこと、第3世代移動体通信事業者の出資比率が1/3以下であることとされているが、同社ではこれに対して要件を満たすような事業体を準備中であるとした。計画認定から5年以内に50%以上の人口カバー率を達成すること、比較審査の場合はより広範囲のエリアをカバーすることという要件に関しては、イー・モバイルとの基地局設置場所共用などにより、早期に広範囲のエリアカバーを達成可能であるとした。
このほか、開設計画を遂行する技術的・財務的能力があることという要件では、イー・モバイルでの資金調達・基地局実績があることを、法令を遵守し適切な方法で業務を行う能力があることという要件では、イー・アクセスは重大な情報漏えい事故などの発生がゼロであることを挙げた。また、MVNO提供の具体的な計画を持つことという要件では、イー・アクセスは日本最大のホールセール事業者であると説明した。
これら要件で一番の問題となるのが、第3世代移動体通信事業者の出資比率が1/3以下であること。要件を満たすような事業体を準備中であるとしているが、同社がこの事業体のパートナーとして選んだのが、ソフトバンクモバイルだ。
(左から)イー・モバイル代表取締役会長兼CEOの千本倖生氏、同代表取締役社長兼COOのエリック・ガン氏、ソフトバンクモバイル取締役・専務執行役CTOの宮川潤一氏 |
説明会では、ソフトバンクモバイル取締役で専務執行役CTOの宮川潤一氏が壇上に現れ、イー・モバイルとソフトバンクモバイルで、WiMAXの免許取得を行うための事業体を作るべく協力していくことを明らかにした。ただし、この2社だけでは第3世代移動体通信事業者の出資比率が1/3以下であることという要件を満たせないため、そのほかの戦略的パートナーを募集するとしている。
両社は最初に、WiMAXについて技術的およびビジネスモデル的に実現可能かどうかの研究から開始する。内容は、
- WiMAX実証実験の共同実施
- 日本におけるWiMAXの市場性の分析
- 地方のデジタルデバイド解消に向けた取組
- WiMAXの標準化の推進
- MVNOや水平分業モデルなどWiMAXを使った新しいビジネスモデルの検証
の5点。お互いの長所を生かしながら進める。
説明会では、NTTが参加を希望した場合についての質問があったが、イー・モバイルの千本倖生会長は「NTTさんが入っていただけるということであればウェルカムだし、KDDIさんが入っていただくのでもウェルカムで、アッカさんでも同じです。そういうことも前提に進めていきたい」とした。また事業会社については「まだ勉強が始まったばかりで決まっていない。ビジネスモデルも構築しないといけないし、技術的な問題も解決しないといけない。しかし、WiMAXの免許取得を目指すからには申請時期までには、事業会社を設立して、どんなファイナンスを行うかの結論を出すつもり」との見通しを示している。