家具の企画、販売を行うAD CORE DEVISE は5月31日、「AD CORE 2007 ミラノ・サローネ報告会」を渋谷C.C.Lemonホールで開催。約1,000人が集まった。ミラノサローネ国際家具見本市は、毎年、イタリアのミラノで開催される世界最大級の家具見本市。約2,000社が出店し、メイン会場となるフィエラ会場とミラノ市内で展開する。第46回となる今年は、4月18日から23日の6日間に、約27万人が来場したという。
報告会は、出展各社のブースや作品をスライドで映し出し、同社デザイナーの瀬戸昇氏が解説するというもの。各社の製品、今年の傾向、ブースの演出などを次々と取り上げ、サローネ会場の模様を紹介した。
瀬戸氏は今年の総評を「フィエラ会場が移転して2回目となるが、会場も出展社も以前より規模が拡大し、飽和状態といってよいだろう。6日間の開催期間だけでは見切れないと感じた。内容は、フィエラ会場が商材中心の展開、市内会場はイベント重視の展開と二極化していた。来場者の属性も、商談を中心としたビジネスマンとイベントを楽しむ若い層に分かれていた」とした。
また今年の傾向として、「興味深かったのは、昨年は会場に中国人の姿が多かったのだが、今年はドバイ、ロシア人が目立っていた。ドバイは現在、建設ラッシュ。別荘やホテルへのコントラクトの需要が増え、一方のロシアでは、富裕層がヨーロッパの別荘地を購入し、イタリアの家具を置くことをステイタスとしていると聞く」と、購買層の変化を示した。
イタリアのブランドIPE CAVALLIの展示は、完全にロシア調。黒を基調とした今年らしいデザイン |
イタリアのMERITALIAはロシアへの販売を伸ばしている。ボタン締めのデザインは、他社でも多く見られた |
デザイン面では、今年のキーワードとして、「退廃的」「オーソドックスモダン」「ハード」を挙げた。瀬戸氏は、「1970年代をイメージしたデザインが多く見られ、そうしたオーソドックスな流れをくんだモダンなデザインを強く感じた。また黒を基調とした男性的でハードなデザインも多く、昨年までのソフトな印象からハードへの移行が感じられた」とした。
「和」のテイストを取り入れたデザインや演出も随所に見られ、日本ブームは健在だという。加えて、日本人の活躍も顕著で、昨年同様、プロダクトデザイナー深澤直人氏の作品が多数出品されており、デザイングループnendoの作品もCASSINA IXC.をはじめ数社で発表。瀬戸氏は、日本ブームは当分続くと見ている。
この報告会は当初、同社の社内研修の一環として行っていたが、業界関係者等から、報告会開催を求める多くの声が寄せられたため、2003年より本格的に開始した。業界関係者や学生を中心に徐々に参加者を増やしており、毎回好評を得ているという。東京での開催を皮切りに、全国をまわる予定。
開催日 | 開催地 | 会場 |
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6月19日 | 北海道札幌 | 札幌パークホテル |
7月6日 | 愛媛県松山 | コーエキ |
7月7日 | 香川県高松 | アーバンハウス |
7月11日 | 沖縄県那覇 | module(モジュール) |