5位:ASLR(Address Space Load Randomization)
Windows Vistaから導入されたASLRでは、OSが起動されるたびにシステム・ドライバなどの読み込み位置が変更され、2度と同じメモリ・イメージにならないようにする。以前のWindowsでは、読み込みアドレスをランダムにするという処理は行なわれていなかった。このため、不正コードがKERNEL32.DLLの中のシステム・サービスを呼び出したい場合などに、そのサービスが読み込まれるメモリ・アドレスが常に固定であることが悪用されてしまっていた。ASLRによって、システム・サービスの読み込みアドレスがランダムになったため、不正コードがシステム・サービスに直接アクセスできる可能性が大幅に低減された。
4位:WHEA(Windows Hardware Error Architecture)
アプリケーションが回復不能なエラーをシステムに報告する際のプロトコルが標準化された。これまで、デバイスがエラーを報告するやり方があまりにたくさんあったことが問題だった。ハードウェア・エコシステムを貫く標準化された手法は存在しなかった。そのため、アプリケーションを記述するのが困難になり、さまざまな異なるソースからのエラーを集約し、報告する必要があった。WHEAにより、ハードウェア起因のエラーに関しては、共通のソケット・インタフェースを介して報告される。アプリケーションでのエラー処理の負担が軽減され、管理ソフトウェアの市場が活性化することも考えられる。
3位:サーバの仮想化(Windows Server Virtualization)
仮想化は既に多くのエンタープライズ・ユーザーがTCO削減の強力な手段として利用されており、この流れにMicrosoftも加わる。とはいえ、Viridian(Windows Server Viatualizationの開発コード名)によるハードウェア・ベースの仮想化の推進は、IntelおよびAMDがサードパーティ向けに仮想化対応のプラットフォームを提供できるかどうかに依存している。
2位:Windows PowerShell
革新的に新しいコマンドライン・ツールであり、GUIベースのシステム管理作業を補完し、あるいは完全に置き換えることも可能になる。
1位:Server Core
UNIXないしはLinuxの管理者にとっては自明のことだが、サーバOSとしてのWindowsの単純だが真の問題点は、"それがWindowsである"という点にあった。管理者としては、「なぜサーバに32ビット・カラーをサポートするグラフィック・ドライバやらDirectX、ADOやOLEが必要なんだ? そんな機能を利用するアプリケーションは実行しないのに」という疑問を抱き続けていたのだ。Windows Server 2008では、Windowsが背負っていた"大荷物"はオプションとして扱うことができるようになった。Server Coreは、Microsoft史上もっとも軽量かつもっとも管理しやすいサーバとなるだろう。エンタープライズ・ユーザーが移行を完了するには少なくとも5年程度は要すると見込まれるが、移行が完了すれば、すべてが劇的に変化することになる。