COMPUTEX TAIPEI 2007にて、ASUSTeKが開発を表明した「Eee PC」と呼ばれる新型ノートブックPCが大きな話題となっている。小型軽量ながら最低限のモバイル性能をしっかりと備え、シンプルで好感が持てる外観デザインの製品だが、注目された最大の理由は別に存在する。なんと価格が199ドルなのである。

ASUSTeKブースに出展されていたEee PC。写真のモデルは「Eee PC 701」として展示されていた。動作デモを行なっていたが、ガラスケース内のため実際に触れることはできず

Eee PCの登場には特別な背景もあるようだ。お披露目はCOMPUTEXで開かれたIntelの基調講演の席上での出来事であり、Intelが世界中のあらゆる地域にPCを普及させようと推進する「World Ahead Program」において、この製品が重要な役割を担っていることも紹介されている。ちなみに、製品名の「Eee」は、Easy to learn、Easy to play、Easy to workという3つの"E"を意味するのだとか。

こちらはIntelブースのEee PC。ASUSTeKブースと違い、こちらは自由に触れることができた

Intelブースの製品紹介パネル。ここでは「Classmate PC ready」と紹介されていた

しかしながら、製品はASUSTeKの販路で"市場"に投入され、出荷は7月または8月を予定。同社からは、本年中に20万台という販売目標も掲げられている。気になるのは日本で入手できるかどうかだが、同社の日本市場担当者によれば、残念ながら現時点で予定はないそうだ。

開発中ではあるものの、会場内には動作実機が出展されており、実際の使用感などを確かめることができた。国内ユーザーには縁遠い存在になりそうな製品ではあるのだが、魅力的な製品であることには変わりなく、せっかくの機会なので、ちょっとご紹介しようと思う。

触ってきました

ASUSTeKのアナウンスによれば、Eee PCは記憶ドライブに2GBのSSDを搭載し、メインメモリの容量は512MBで、15秒以内というシステムのブート速度を実現。ディスプレイは7インチ液晶で、本体は手のひらに乗せることが可能な程度のコンパクトサイズ、重量は890gとされている。

なお、Eee PCには製品ラインナップが複数存在するそうで、199ドルというのは最小構成モデルの価格だという。今回触れることができたのはIntelブースに展示してあったEee PCだが、本体のカラーリングがASUSブースに出展の個体と異なっていたり、そもそもが試作品なので、これがそのまま"199ドルのEee PC"ではない可能性にはご考慮いただきたい。

今回は、前述のIntelブースに展示してあった実機でご紹介する

ASUSブースのものと色違いだが、それ以外の見た目は同じ

ボールペンと大きさ比較。見ての通りコンパクトだ

手のひらに乗らないこともないサイズ。890gということで、非常に軽い

しかも薄い。持ち歩きは苦にならないだろう

バッテリはここ。ブーススタッフに質問してみたが、持続時間はたぶん3時間くらいとのこと

左側面のインタフェース。LANやUSB、オーディオなど

右側面はUSB×2とD-Sub。何かのカードスロットも見えるが、これは聞き忘れてしまった

OSはLinuxでカーネルバージョンは2.6.21.3。Windows XPが動作するモデルもあるらしい。GUIのデスクトップ環境にはKDEを利用している

CPUのmodel name表示はCeleron M 900MHz。動作周波数の表示は630MHzとなっていた

メインメモリの容量は512MBと紹介されたとおり。今となっては多くはないが、これだけあれば充分だろう

チップセットはMobile 915シリーズのいずれかを搭載するようだ。グラフィックスはチップセット内蔵のものを利用していた

ネットワークデバイスはUnknownとなってしまっていたが、ひとつはAtheros製という認識

まず処理能力では、OSの基本アプリケーションを利用する場合でも多少もたつく場面が見られるなど、"それなり"といったところだが、実使用に耐えないといったほどではなく、充分な実用レベル。エディタ程度なら軽快に利用できた。

筐体のつくりは意外としっかりしており、キーボードを打つとペコペコするといった、剛性の足らない安物ノートにありがちな不満もあまり感じない。さすがに液晶は小さいが、本体のサイズと重量から考えれば問題にならないだろう。

機会があれば調べてみたいが、製造コストの内訳が気になって仕方ない。これが本当に199ドル!? というのが筆者の正直な感想である。国内販売の予定がないのは残念だが、海外に出かけた際など、どこかで見つけることができたなら、ついうっかり衝動買いしてしまいそうな製品であった。