今年のアナリストミーティングの標語は、"Return on Innovation"で、アナリストが一番重視する"Return on Investment"、ROI(投資に対する収益額)に引っ掛けて、「革新を続けることによる収益」の継続である。
Otellini社長は、講演の最初のスライドで、次の図のように、訴えたい3項目を要約した。
出典:Intel 2007 Spring Analyst MeetingのOtellini社長の発表資料 |
多少、意訳すると、Intelは、(1)加速した製品とテクノロジの開発で、継続的にリーダーシップを確保する。(2)効率化と低コストのビジネス構造で、全市場セグメントにわたって攻撃的に競争を展開することが出来る。(3)Intelアーキテクチャの拡張に投資しており、新しい市場セグメントでの成長をドライブする。という3点である。
Intelの売り上げの推移 単位は$B。出典:同社の2006年 Annual Report |
Intelの売り上げは、2001年のバブル崩壊から2005年までは順調に回復したが、2006年にはAMDとの競合に伴う値下げなどの影響で売り上げは減少し、将来の成長という点では懸念が出てきており、Otellini社長としては、リストラなどによる当面の収益の改善、競合力の高い新製品での売り上げの向上に加えて、さらに先の新市場への進出による売り上げのステップアップを図ろうという戦略である。
そして、45nmのマジックと題する次のスライドで、Intelアーキテクチャの拡張の方向を示した。
出典:Intel 2007 Spring Analyst MeetingのOtellini社長の発表資料 |
Intelアーキテクチャの拡張は、高性能側が、ビジュアルコンピューティングとHPC(High Performance Computing、科学技術計算など)の分野に最適化したアーキテクチャのLarrabeeと呼ぶプロセサで、低電力側が超低コスト、超低電力に最適化したアーキテクチャのSilverthorneと呼ぶプロセサである。
また、超低コスト、低電力のSilverthorneは、家電など向けのSoC(System on a Chip)にも展開するとしている。そして、2011年には、これらの超低コスト、低電力のプロセサベースの製品で家電(Consumer Electronics)で$10B、モバイルで$10B、そして途上国向けなどの超低コストPCで$10Bの合計$30Bの売り上げを目指すとしている。現在の売り上げが$35Bであるので、今年を含めて5年間で、売り上げをほぼ倍増するというチャレジングなプランである。
従って、サーバやハイエンドのLarrabeeにも注力することは間違いないが、やはり、ビジネスの規模から言うと、今後5年間のIntelは、超低コスト、超低電力に開発の力点が移ることになると思われる。
出典:Intel 2007 Spring Analyst MeetingのOtellini社長の発表資料 |