ボーズは、同社の音響製品の研究や開発で培った技術を利用した素材測定機器の販売を30日から日本で開始した。これまでは難しかった精密な測定が可能で、医療や食品などの素材測定機器分野での活用が期待されている。同社は、これまでもボーズ・サスペンション・システムといった音響製品以外の分野での研究 / 開発発表をしているが、今回の「BOSE ElectroForce(ボーズエレクトロフォース)」は、実際に製品として販売されるもので、ボーズ初の素材測定機器分野への参入となる。

代表取締役社長佐倉住嘉氏が自ら「ステント・グラフト試験装置」を紹介

日本で扱う予定の製品は、「バイオダイナミックテスト装置」「ステント・グラフト試験装置」「外科材料試験装置」「材料試験装置」の4つ。これらの製品には、ボーズが音響製品のために研究 / 開発した高性能リニアモータが搭載されており、従来からの油圧駆動による測定機器では困難だった小さく正確な動作が可能となり、精密な測定を実現している。また、稼働部分が非接触式であるため、メンテナンスなしで数十億サイクル以上のテストが実行可能で、スラッジの発生や油漏れなどがなく、無菌室やクリーンルームでの使用にも対応することができる。

試験項目としては、引張りと圧縮試験、ねじれ、動的圧力、曲げ、疲労 / 耐久、硬度 / 軟度などが一台の測定器で可能で、血管関連の研究、脊椎の補強材や生体材料の研究、バイオ組織の研究などに利用が可能だ。例としては、人造血管の耐久試験や細胞の培養などが挙げられる。

日本では、ダイレクト販売のほか、アルテックコミュニケーションズを通じて購入することができる。

バイオダイナミックテスト装置は、チャンバーに資料を入れ、培養液の脈動流を流し、さらに外部から振動を与えることによって細胞の培養速度を10倍近く加速することができる

ステント・グラフト試験装置は、中央のチューブにステント(急性心筋梗塞などで冠動脈流が狭くなった時に患部を広げる道具)や人造血管を入れて、10年分の耐久試験を行うことができる

3100は、卓上万能材料試験機で、引張り、圧縮、振動、硬さ、耐久試験を行うことができる。この他に3200、3300、3500といったモデルも用意されている。パソコンに詳細なデータを表示することも可能だ