「WX320T」(東芝製、愛称"Carrots")

ウィルコムは31日、音声通話向けPHS端末の新製品「WX320T」(東芝製、愛称"Carrots")を発表した。東芝製PHSとしては2001年に発売された「DL-B01」(愛称"Beat Carrots")以来6年ぶりの新端末となる。7月上旬よりウィルコムストアおよび店頭で販売を開始する。オープン価格だが、実売の価格帯が新規契約時1万円程度の中級機となる見込み。

外部に飛び出ない内蔵アンテナを採用し、すっきりとした外観を実現。キーも大型のものを搭載し、メール作成時などに誤操作の少ないユーザーフレンドリーなデザインとなっている。PHS高度化通信規格「W-OAM」に対応し、対応エリアにおいては、データ通信時はより高速に、音声通話時にはより安定した通信が行える。加えて、側面に設けられた「サーチ」キーの長押しで自動的に通信状態の良い基地局を選択する「ベストコネクト」機能も用意される。また、最大約7.5時間の連続通話、最大約850時間の連続待ち受けが可能なバッテリー(容量930mAh)を採用し、通話定額の料金プランを活かすことができる。

外部アンテナレスのスッキリしたデザイン。裏面に130万画素CMOSカメラを搭載

側面に「ベストコネクト」機能専用のキーを用意

背面液晶はモノクロ。大きな文字の時計表示のみにも切り替えられる

ウィルコム端末としては初めて、赤外線通信を利用したアドレス帳データの交換機能を搭載した。他の携帯電話・PHSとの間でアドレス帳の転送が行えるほか、画像データの転送も可能。すべての赤外線通信機器との互換性を保証するものではなく、相手の電話機によっては送受信できないデータが含まれる場合もあるが、電話番号やメールアドレスなど一般的に利用されているデータならほぼ可能という。赤外線通信機能を採用した背景としては、通話定額で2台目のサブ回線としてPHSを購入するユーザー向けに、より簡便な連絡先変更の通知手段を提供することで、PHSをメイン回線として使ってもらえるよう働きかける意図もあるようで、ウィルコムでは今後の音声端末にできるだけ搭載していきたい機能としている。なお、WX320TではPCと赤外線で接続しモデムとして使うといった用途には対応していない。

2.4型QVGA(240×320)液晶ディスプレイと、Webブラウザ「NetFront V3.4」を搭載し、PC向けWebサイトの閲覧が可能。有効130万画素のCMOSカメラを裏面に搭載し、QRコードの読み取りにも対応する。外部メモリ用にmicroSDカードスロットを搭載する。そのほか、Word / Excel / PowerPoint / PDF形式のファイルを閲覧できるドキュメントビューア、1件あたり最長24時間(空き容量256MB以上のmicroSDカード・ACアダプタ使用時)の録音が可能なICレコーダー機能、Java(MIDP 2.0対応)アプリケーション実行機能などが用意されている。USB端子(mini Bタイプ)による充電に対応するほか、PCとの接続が可能。データ通信は4xまでのパケット方式、フレックスチェンジ方式、PIAFS(32/64k)に対応する。

「ユーザーフレンドリー」を主要な製品テーマとし、押しやすく見やすい大型のキーパッドを搭載する

WebブラウザはNetFront V3.4。Compact版ではなく、いわゆるフルブラウザ

発表会で東芝モバイルコミュニケーション社統括技師長の岡本光正氏は、6年ぶりにPHSの新製品を発表したことについて、通話定額の開始などでウィルコムの加入者が順調な伸びを見せるようになった背景に触れ、ウィルコム端末ラインナップの強化に協力するとともに、今回の新製品によって東芝の携帯端末のシェア拡大につなげたいと話す。愛称に"Carrots"を持つ同社のPHS端末は、PHSサービス最初期の1995年にシリーズ最初の機種が発売されており、同じ愛称を用いたのは再びPHSを投入するにあたって「初心に返る」(同氏)意味もあるとしている。

"Carrots"の愛称は、1995年に発売された「DL-S20P」から使われている東芝PHS伝統のブランド。右は2001年に発売された「DL-B01」"Beat Carrots"(4月のWILLCOM FORUM & EXPOで展示)

東芝 モバイルコミュニケーション社 統括技師長の岡本光正氏

ウィルコム 執行役員副社長(営業統括担当)の土橋匡氏。3月に9万2,000、4月に6万2,000以上の純増を記録し、累計契約数は約459万となった

なお、東芝はWindows Mobile 6搭載のスマートフォン「X01T」をソフトバンク向けに供給することを発表しているが、この夏はまず同機のベースとなった「G900」の欧州における展開、次に国内においてX01Tの展開に注力するとしており、ウィルコム向け製品の開発についてはその可能性を否定しなかったものの、現時点ではまだ検討段階だとしている。

メーカー 東芝
通信方式 4x/2xパケット方式、1xパケット方式、フレックスチェンジ、64kPIAFS(ベストエフォート)、32kPIAFS
サイズ(W×H×D) 50×97×21mm(折りたたみ時、突起部除く)
重さ 約120g
連続通話時間/待受時間 約7.5時間/約850時間
ディスプレイ メイン 2.4インチ(240×320ドット)TFT液晶 262,144色表示
サブ モノクロ 24×84ドット
モバイルカメラ 有効130万画素 CMOS
外部メモリ microSD
カラーバリエーション ブラック、ホワイト