都内で26日、Webブラウザ「Opera」のファンが集うユーザーミーティングが開催された。会場となった目黒区のOpera Software東京オフィスには30名近くのOperaユーザーが足を運び、交流や意見交換を楽しんだ。そのミーティングの名称は……「Opera東京オフィスにピザをおごらせるオフ」とされていた。

ユーザーミーティングで、なぜか「ピザパーティー」が強調されていたOpera Software東京オフィス

前述の名称はもちろんジョークだが、Opera Softwareからは実際に"同社のおごりで"ピザが提供された。これは米テキサス大学オースティン校で昨年夏に開催されたOperaのユーザーミーティングに端を発するもので、そのミーティングに関連して同社技術エバンジェリストのDaniel Goldman氏が「(学校で)同様のOperaユーザーミーティングを開くなら連絡してください。Operaからピザ・飲み物代を送ることもあります」とBlogで発言していたのを日本のユーザーが発見し、国内でもミーティングを企画したところ、同社東京オフィスがピザ代と会場の提供を快諾した――という経緯でこの会が開催されたため。

参加者は、Operaが日本語表示に対応して間もないころから使っているという上級者から、最近のバージョン9以降に使い始めたという比較的新しいユーザーまでさまざまだったが、Operaを選択した理由としては、Webページ表示速度の速さ、マウスジェスチャーやズームなどの便利で使いやすい機能、性能の限られたマシンでの実用性、安全性といったものが挙がっていた。

中部・関西や九州からもOperaユーザーが集まり満員の会議室

そして、振る舞われたピザがなくなるころ、Opera Softwareからの特別企画として、会場とノルウェー・オスロ本社をSkypeのビデオチャットで結び、同社CEOのJon S. von Tetzchner氏と参加者との質疑応答が行われた。このビデオミーティング企画は予告されておらず、Tetzchner氏が画面に登場すると参加者からは驚きを交えた歓声が上がった。

Skypeの画面にTetzchner氏が登場すると会場では歓声が

来場者からは「モバイル版のOperaで、日本の携帯電話にアプリとしてダウンロードできるものは作れないのか」「小さい容量のまま新しい機能を追加するのは難しいと思うが、最低限の機能のみ搭載した"Opera Lite"を出す計画はないか」などといった質問が出された。Tetzchner氏は「日本の携帯電話のOSは機種ごとに特殊なので、現在のところは組み込みを中心に考えている」「社内でも議論があったが、2つのバージョンをサポートするよりも、1つのフルバージョンの中で各機能がオン/オフできるほうが良いと判断した」といった具合にひとつひとつの問いに丁寧に答えていった。将来の製品に関する話題では具体的なコメントは得られなかったが、軽量・高速であらゆる人にとって使いやすいWebブラウザを作るという方針は変わらないことを説明し、今後Operaをどのように進化させていくかについては、ユーザーからの意見やフィードバックを重要視していると強調した。

それぞれの質問に時間をかけて答えるTetzchner氏。Wiiリモコンを振っている参加者がいるのを見て「今度日本に行ったらWiiでテニスをしましょう。それまでに練習しておかないと」(右写真)と話す

また、2005年に同氏は、バージョン8の100万ダウンロード突破を記念してノルウェーから米国へ向けて泳ごうと挑戦した(出発直後にアクシデントで中止)が、これについて「(アメリカまで泳いでみせるというのは)社内会議の上だけでの発言のつもりだったが、広報担当者によって外部の多くの人が知るところとなってしまった……4月のフィヨルドはとても冷たいので、皆さんには泳ぐことはおすすめしない」と答えるなどジョークも欠かさず、実に1時間20分を日本のユーザーとの対話に費やした。

前日に練習したというじゃんけんでプレゼントの当選者を決めるTetzchner氏。賞品はこの赤い帽子に同氏のサインをしたもの

同社では「CEOが申し上げた通り、Operaではユーザーからのフィードバックを非常に大切にしているが、国内のユーザーから直接意見を得られる貴重な機会だった」(同社東京オフィス広報)としており、同様のイベントがあれば今後もサポートしていくつもりだという。ミーティングを企画したOperaユーザーのTERRAZIさん(ハンドルネーム)も「今回は自分が言い出したのでこのような内容だったが、技術的な勉強会だったり、Webをテーマにした講演会のようなものがあってもいいと思う」と、ユーザー側のより幅広い活動を呼びかける。

TERRAZIさんが差し入れた、ファン有志がデザインしたキャラクター「オペラたん」を描いたケーキ。イラストもこの日のための新作という。後で切り分けられたが「切るのがかわいそう」との声も

また、今回はユーザー主催の企画をOpera Softwareが支援する形だったが、同社でも今後何らかのイベントを行う意向で、次回Tetzchner氏が来日する際にはユーザーとのコミュニケーションの機会をぜひ設けたいとしている。