国内最大規模のバラとガーデニングの祭典「第9回 国際バラとガーデニングショウ」が16日からグッドウィルドーム(旧西武ドーム)にて開催された。主催は国際バラとガーデニングショウ組織委員会。会場内には100万輪ものバラが甘く濃厚な香りを漂わせ、来場者を魅了していた。今回はフランスを代表する4つのナーサリー(※)が作出したバラにスポットを当て、ショウの魅力を紹介する。

※本記事では、フランスのバラ育種会社を指す

フランスを代表する4つのナーサリー「メイアン」「ギヨー」「ゴジャール」「デルバール」。ショウではこの伝統ナーサリーのバラが一挙に見られるとあって、ブースには黒山の人だかりができていた。特にメイアンは、第二次世界大戦下ではパリの戦火を逃れ、戦後アメリカから平和のシンボルとして世界中に広がった歴史的銘花「ピース」を作出したナーサリーとしてあまりにも有名。以後、昨年の世界バラ会議において"世界で最も愛されたバラ"にも選ばれた「ピエール・ドゥ・ロンサール」をはじめ、優れた品種を世に出し続けている。

今回日本初公開のブラン・ピエール・ドゥ・ロンサール。世界で最も愛されたバラ"にも選ばれた「ピエール・ドゥ・ロンサール」よりさらに優しく、ロマンティックな雰囲気を持つ枝変わり種。つるバラなので上によく伸びる強靭なバラ

イブビアッチェ

ベビーロマンティカ

プリンセスモナコ

マヌウメイアン

歴史的銘花はピースだけではない。ギヨー家の2代目、ジャン=バプティスト・ギヨー・フィスが作出したバラ「ラ・フランス」は新品種のバラの系統「ハイブリッドティーローズ」の第1号となった記念すべき品種だ。特徴は、長くとがったつぼみと花びらが幾重にも重なる大輪花。そして強いダマスク香にフルーティーな甘さが交じり合う香り……。どれ一つをとっても非の打ち所がないとされている。そして17世紀末のヴェルサイユ宮殿初代園長まで遡るゴジャール家。その10代目ジャン=ジャック・ゴジャールが作出した「アール・ドゥ・ヴィーブル」は本ショウのテーマにちなんで名付けられたバラ。日本初公開なので、ぜひ見てほしいバラの一つでもある。

「アール・ドゥ・ヴィーブル」。耐久性に優れる。四季咲き。丸弁。かかえ咲き。色: チェリーピンク

最後に紹介するナーサリーは、1935年、パリで果樹の通信販売から始まったデルバール。その初代ジョルジュ・デルバールが作出したのが、切花界で世界的に人気を誇る銘花「マダム・デルバール」だ。上品な花姿とシックな色合いが淑女を想起させるこのバラを、ジョルジュは妻のマリーに捧げたという。以来数十年にわたり、切花としてとても長持ちする同花の人気は衰えることはないだろう。

新品種である「ローズ・デ・キャトルバン」。耐病性が強く育てやすい。キャトル・バンとは「4つの風」を意味し、どの季節の強風にも巻けず、開花時期が長い。日本であれば5月から霜のおりる12月まで楽しめるという