映画『パイレーツ・オブ・カリビアン / ワールド・エンド』(5月25日全世界同時公開)のアジア・プレミアのために来日したビル・ナイのインタビューが24日、都内某所で行われた。ビル・ナイは前作に引き続き、海賊船フライング・ダッチマン号を操る"深海の悪霊"デイヴィ・ジョーンズ役を熱演。インタビューでは映画の撮影エピソードや日本初来日の感想などが語られた。

写真デイヴィ・ジョーンズのコスチュームで現れた子供と…商品はデイヴィ・ジョーンズ コスチューム(キッズ用)、CHRISTY BY DESIGN LTDより近日発売予定

――今日本では"ちょい悪スタイル"が流行っていますが、悪役の魅力について教えて下さい

「悪役を演じるのは役者冥利に尽きるというもの。もちろん本当に悪くなるのは駄目だけどね。ただし私が演じているデイヴィ・ジョーンズの魅力は悪役という所だけではない。『パイレーツ・オブ・カリビアン / ワールド・エンド』では、彼が何故悪役になってしまったのかが語られる。特に、恋に破れるシーンなどは観客に共感を持って観てもらえるんじゃないかな」

――今回の映画の見どころと撮影のエピソードを教えてください

「やはり、観て欲しいのはティア・ダルマ(演:ナオミ・ハリス)とのラブシーン。タコの海賊にこんなシーンがあるとは期待していなかったので、(ラブシーンがあると聞いた時は)びっくりしたね。撮影時のエピソードと言えば、海賊船フライング・ダッチマン号の乗組員がCGI用のグレーのパジャマを着て、ずっとビーチ・ボーイズを歌っていたのは思い出す度に吹き出してしまう。それとカリブ海に浮かぶ幽霊船から見た星の美しかったこと……。あとは大渦のシーン。世界で一番大きな雨を作り出す装置の前で爆風が吹く中、ジョニー・デップの方を見たら彼はそんな状況でもキャプテン・ジャック・スパロウそのものだったね。いつものように皆を笑わせていて、ほんとに感心したよ」

写真『パイレーツ・オブ・カリビアン / ワールド・エンド』の関連グッズを紹介するビル・ナイ。ブラックパール号の模型やジャック・スパロウ版「黒ひげ危機一発」などを一つずつ丁寧に説明してくれた。手に持っているのは、壽屋から10月発売予定のデイヴィ・ジョーンズのフィギュア

深海の悪霊、突如現る!デイヴィ・ジョーンズ コスチューム(キッズ用)を着けたビル・ナイ

――デイヴィ・ジョーンズを演じる時はメイクをしておらず、(後でCG処理をするために)白い点を体中に付けていたそうですが演じた時に苦労はありましたか?

「情けないピエロのような格好で一番怖い役を演じるのだから、非常に想像力を要したね。慣れるにつれてできるようにはなったけど。それに相手も怖がらなければならなかったから、とても大変だったと推察するよ」

――大人になったビル・ナイさんは悪役を演じてらっしゃいますが、小さい頃どんな子供だったのですか?

「私はチャンバラやカウボーイが好きな子供だったね。チャンバラ物の映画を観た時は車の中でずっとチャンバラをやっていたなぁ。ギャングスターも好きでサブマシンガンも気に入っていた。だから親は苦労したと思うよ(笑)」

――初来日ということですが美味しかった食べ物などはありますか?

「神戸牛を2回食べたんだけど……。なんて言うんだろう、牛でも肉でもない味で、天国にいるような気分を味わえた。日本のフィーリングやスタイルにも感動したし、日本人の心から丁寧で親切な振る舞いにも感動したよ。マナーもとてもいいしね。前から日本には心から来たいと思っていたんだ。だから今回来られて本当に嬉しいよ」

インタビュー終了後は、記者一人ひとりの手を取って笑顔を見せたビル・ナイ。取材中の物腰も柔らかく、終始気遣いを見せる姿は、まさに英国紳士そのものだった。悪役の枠を超え、世界中のパイレーツ・ファンに愛されるデイヴィ・ジョーンズの魅力はそんな彼の人柄によるのかもしれない。

ビル・ナイ

1949年12月12日、イングランド生まれ。TVシリーズからキャリアをスタートさせた英国のカリスマ俳優。ハリウッドでの活躍もめざましく『アンダーワールド』シリーズ(2003-2006)の吸血鬼役で知られる。近年は『ラブ・アクチュアリー』(2003)や『ナイロビの蜂』(2005)などに出演。TVシリーズ『Gideon’s Daughter』では今年のゴールデン・グローブ賞に輝く

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写真 : 岩松喜平