採用のきっかけはドキュメント
FreeNASはもともと、開発者が「USBから起動でき、4つのPATAドライブをすべてストレージとして活用でき、RAID 5が構築できるソリューション」を探していたものの、該当するプロダクトがなかったため開発することになったとされている。
興味深いのは、開発者は、FreeNASの開発をはじめるにあたり、FreeBSDを使ったこともなければ、UFS+Softupdatesがベストチョイスのファイルシステムだと検討していたわけでもない、ということだ。当時調査をはじめてFreeBSDを使った組み込みシステムの開発に関するドキュメントや、miniBSDに関するドキュメント、m0n0wallに関するハンドブックが見付かったことから、最終的にm0n0wallを使ったFreeNASの開発に手をつけたとしている。採用のきっかけは実践できるドキュメントの存在だったということだ。
デモンストレーション
BSDCan 2007ではFreeNASをインストールしてから設定するまでのデモンストレーションが実施された。FreeNASのインストールと設定はとてもかんたんだ。QEMUのようなPCエミュレータを使えば簡単にインストールを試せる。スクリプトが起動するので対話的に必要項目を入力すればインストール完了だ。
FreeNASが動き出したらWebブラウザから設定すればよい。FreeNASが提供しているWebインタフェースはm0n0wallが提供しているものとよく似ており、直感的に操作しやすい。RAID構成や動作確認など、PCエミュレータを使ってあらかじめ調査してみるといいだろう。
検討の価値あり、1.0のリリースを注目したい
FreeNASは検討する価値のあるソリューションだが、現状のプロダクトを本採用する場合は修正を実施できる技術者/開発者を抱えている場合に限った方がよいだろう。ソリューションとして活用する場合は1.0の登場まで待ちたい。
現状のバージョンから完成させるまでにいくつもの検討点と開発課題が残っており、個人レベルであれば特に問題はないだろうが、エンタープライズレベルで使うとなるとそれほど詳しくない管理者/運用者が採用するには若干厳しいものがあるように思えた。しかし、興味深いプロダクトであり、PC資産を有効に活用するにはすぐれたソリューションと言える。あらかじめ調査しておき、1.0の公開にあわせて本採用を検討するというのが現実路線ではないだろうか。